【肉サンド】極厚&やわらか!絶品「ローストビーフサンド」とコーヒーがおいしい新店

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伊丹十三の名著『女たちよ!』の中に、サンドウィッチに関する旨そうなエッセイがある。
パリのホテルでクラブハウスサンドウィッチをルームサービスで頼んだら、

【これはうまそう】ローストビーフサンドの決定版!? 美しい断面ほかフォトギャラリーはこちら

「パン二枚の間に電話帳二冊分くらいの厚さでいろんなものを詰め込んだサンドウィッチが出てきたことがある。こういうものを楽しく食べるためには行儀なんぞにはかまっていられない。(中略)なりふりかまわず食べるに限る」

伊丹十三『女たちよ!』より

というのだ。

分厚いサンドウィッチの様を、伊丹十三は三階建て、四階建てと表現している。
一度でいいから、伊丹十三が食べたような分厚いサンドウィッチを賞味してみたい、と切望していた。

先月(5月)、そんな分厚いサンドウィッチを食べさせてくれる店が都内に誕生した。
具はいろいろあるそうだが、ローストビーフがとくに旨いという。

しかも店があるのは、江東区亀戸。
亀戸といえば、餃子か、焼肉か、近頃評判のイタリアンがあることで知られている。

亀戸天神のそばで生まれた自分としては、なぜ亀戸でローストビーフのサンドウィッチなのかを知りたかったし、かじってみたい一心で「ミートファクトリー&カフェ亀戸」へ向かった。

開口一番、佐々木祐介店長に疑問をぶつけた。

亀戸で発見、絶品&ボリューム満点の肉サンド!

「なぜ亀戸を選んだか、ですか。下町で、面白そうな街だったから。それに、ここなら隠れ家的な店がはじめられそうだと思ったんですよ」

親会社が食肉加工業を営んでいることから、ローストビーフをメインにしたサンドウィッチを提供することにしたという。

肉はオーストラリア産ブラックアンガスビーフ。本社から届いたブラックアンガスビーフのリブロースを店の厨房でローストビーフに加工している。

薀蓄をあれこれ聞く前に、まずは「自家製ローストビーフサンド」をオーダーすることにした。

フルサイズか、ハーフかと聞かれたので、迷わずフルサイズを注文。
しばらくするとローストビーフサンドのフルサイズが届いた。

トーストしたパンに、ローストビーフ、トマト、サニーレタスがはさんである。
伊丹十三ならば、三階建てと表現するかもしれない。
とにかく分厚い。

「指でサンドウィッチを底から押し出しながら食べてください」と佐々木さんが教えてくれた。

過去にあちこちのホテルのパーティーや宴会でローストビーフを食べてきた。
正直言って、それほど旨いものではない、というのがこれまでの印象だった。

というのもローストビーフには筋があり、その筋が歯にはさまったり、噛み切りにくい思いを何度もしてきたからだ。

ところが、この店のローストビーフはそんなことはまったくなく、まるでハンバーガーのように食べやすいだけでなく、しかも旨い。

2枚のパンにぬったタルタルソースが爽やかさを演出。しかもローストビーフがしっとりとしていて、しゃきしゃきしたサニーレタスの食感も絶妙だった。

ローストビーフ以外のサンド&コーヒーも絶品!

『女たちよ!』に、炒めたベーコンが入ったサンドウィッチに関する一文がある。

「うっかり端を銜(くわ)えて引っぱろうものなら、ベーコンというやつは決して途中で切れないから、中身が巻添えを食って全部外へ零(こぼ)れてしまったりする」

と。
だから「ベーコンはこまかく切っていれよう」と伊丹十三は諭している。

ベーコンでさえ食べにくいのだから、筋が多いローストビーフのサンドウィッチには細心の注意を払う必要がある。

そこでこの店では本社から届いたブラックアンガスビーフを丁寧に掃除し、筋をきれいに取り除いたものをローストビーフにしている。

仕上げたローストビーフを事前にカットしておいたほうが、効率的のはずである。けれど、それだと肉が乾きやすく、あまり旨くないものを供するはめになる。

この店では注文毎に、ローストビーフをスライサーで薄く切り、サンドウィッチを作る。だからしっとりとしたローストビーフサンドを提供できるというわけだ。

あっさりとした味付けでなので、塩味をきかせたフレンチフライと交互に食べるとより美味しく賞味できる。

ローストビーフサンド以外のサンドウィッチも食べたくなったので、「アンチョビ&ゆで卵サンド」をフルサイズで頼んだ。

サニーレタスとトマトの間にゆで卵がはさんであり、こちらも三階建て。

「女性だとハーフサイズを頼まれる方が多いです」(佐々木店長)

この日、数時間前に、上野のコリアンタウンで焼肉定食を食べたばかりだったので、ローストビーフサンドとアンチョビ&ゆで卵サンドをハーフずつ食べた。

それぞれ半分ずつ残ったので、佐々木さんが箱に入れて持たせてくれた。
そう、この店ではテイクアウトもできるのだ。

「エスプレッソ」も自慢だというので、頼むことにした。
イタリアはラ・チンバリー社のエスプレッソマシーンを愛用。豆はエチオピア産。
高価なエスプレッソマシーンを使いこなしているおかげで、エスプレッソもなかなか。

ランチもいいが、夜も魅力的だ。
自慢のローストビーフを食べながら、ビールやワインの他、ハイボールやレモンサワー、カクテルなども注文できる。

ローストビーフ以外のつまみもそろっている。
ティラミスやジェラートの用意もあるので、肉好きの女性を誘っても喜ばれるはずだ。

肉党としては次回は、ローストビーフサンドのフルサイズに、「生ハム&マスカルポーネサンド」(フルサイズ1380円、ハーフ690円)も頼むつもりだ。
旨いサンドウィッチは、三階建てに限る。

ミートファクトリー&カフェ亀戸

東京都江東区亀戸2-25-4
03-5875-3925
10時〜23時(LO22時半) 火曜休