MEGAドン・キホーテ渋谷本店

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 街の真ん中にそびえたつ白いビル。

 セールの呼び込みに、店頭まで高く積まれた商品。多くの人が吸い込まれていく店内。もちろん専用の大型駐車場は無く、多くの客は電車やバスを使っての来店である。

――1970年ごろに隆盛を極めた典型的な「都市型総合スーパー」。今やそれは「絶滅危惧種」とも言うべき状態にあるが、この2017年に、しかも渋谷にそういった店舗が生まれることを誰が予想したであろうか。

 その名は「MEGAドン・キホーテ渋谷本店」。

 5月12日、あのディスカウントストア・ドンキホーテが、渋谷道玄坂に都市型総合スーパーを開業させたのだ。

◆「21世紀の今だからこそできた」新チャレンジ

 MEGAドン・キホーテ渋谷本店(以下、メガドンキ渋谷店)が開業したのは、渋谷区道玄坂の東急百貨店近く。かつてパチンコ店(マルハン)、ゲームセンター(SEGA)などが出店していたビルだ。なおこの出店に伴い、近隣にあった旧「ドン・キホーテ渋谷店」は閉館している。

 新店舗の売場は地上6階、地下1階、売場面積は5,522屐L明囘には旧店舗の約3倍へと拡大し、まさに「本店」と呼ぶにふさわしい規模となった。

 実際に店舗を訪れてみると、ビルはパチンコ店を核としていた時代とは大きく様変わりしていた。

 入口で目立つのは熱帯魚が優雅に泳ぐ大きな水槽。最近のドン・キホーテの一部の大型店で見られる演出であるが、とくに通行量の多い渋谷では、多くの人が足を止め、水槽の前で記念写真を撮影している。エントランスは他のディスカウントストアとは一線を画す大きな開口部となっており、明るく入りやすい雰囲気だ。

 そして、店内に入って最初に目に付くのは土産品売場。「渋谷」「東京」を冠したもののみならず、全国各地の銘菓が並ぶのは渋谷という立地ならではであろう。

 店内を1階から順にエスカレータで上がっていくと化粧品、衣料品、生活雑貨などの売場となる。以前の渋谷店よりも広い通路に豊富な品揃えを実感することができ、まさに「総合スーパー」と呼ぶに相応しい内容だ。5階まで来ると、パーティーグッズ、コスプレ用品、アダルトグッズの売場が広がり、ようやくいつもの「ドンキ感」を味わうことになる。

しかし、何といってもこの店舗の一番の特徴は「食品売場」であろう。食品売場は3フロアに分かれており、2階は菓子、酒など、1階は銘菓(土産品)など、そして地階は生鮮食品、惣菜、冷凍食品などの売場となる。

 とくに地階の生鮮品は青果、精肉、鮮魚フルラインで販売されており、高級肉売場をはじめとして一部には対面販売が導入されるなど、大手スーパー顔負けの品揃え。また、惣菜は和洋中ばかりかタイ料理などもあり、多様なニーズに応える店舗となっている。

 これだけの品揃えの大型店ながら、営業時間は全館24時間。まさに「新時代の都市型総合スーパー」と言うべき内容だ。

◆都心回帰の中、スーパー不足を埋める存在に

 筆者が店舗を訪れた時間帯は午後11時。遅い時間ながら、店内は外国人観光客で溢れ返っており、レジには長い行列が出来ていた。

 近年、欧米からの観光客にとって東京は「深夜に出歩いても安全な街」としても人気を呼んでおり、渋谷の街では「夜間散策」を楽しむ外国人の姿が目立つようになっていた。メガドンキ渋谷店はそうした観光客にとって格好の「お買いものスポット」となっているようだ。

 そして、地階には会社帰りのスーツ姿のサラリーマンの姿もあり、早速「地域の冷蔵庫」としての役割も果たしていることが見受けられた。

 実は、これまで渋谷駅周辺では「スーパーが少ない」ということが大きな問題となっていたのだ。