統合失調症に苦しんだ中年男性は、気功を通じた東洋医学で「強烈な不安感と焦燥感がなくなった」と述べた。(注:文中の人物ではない、モデル・よたか)

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 特に大病をしたわけでもなく、仕事で挫折を経験したわけでもない。ただ単調に続く日常の中で突然ふっと「自分はこのままでいいのか」という焦りにも似た思いに襲われることがある。よくある「中年の危機」として軽く受け止め、飲みに行ったりスポーツで汗を流したりして、不安を解消する人もいるだろう。しかし、その程度では済まされないほど、強い焦燥感にさいなまれる人もいる。野上誠一さん(仮名・51歳)はそのうちの一人だった。

 小麦色で精悍な顔つきの野上さんは終始にこやかで、とても精神科に通院していたとは思えない。野上さんによると、彼は25歳の時に突然不安に襲われ、「この世が終わるのではないか」「自分は淘汰される」といった妄想を抱くようになった。これは、以前に信仰していた宗教でいわれていた「終末論」が強烈に印象に残っていたためでもある。救われたいと思っていたが、叶わないのではー。地獄に落ちる夢を見ては、うなされるようになった。次第に悪魔がささやくような幻聴も現れ、病院では「統合失調症」と診断された。

強烈な不安感 周りに理解されない孤独感

 

 入院や薬物治療により、表面的な症状は治まっていたが、心の中の強烈な不安感や「この世が終わる」という強迫観念からは解放されなかった。2013年頃、ネットでは「アセンション」という言葉が飛び交い、地球の次元が上昇するという予言や噂が広まっていた。終末論を信じていた野上さんは、「アセンション」という言葉に惹かれ、自分も次元を向上させたいと真剣に願っていた。当時、職場では同僚とのコミュニケーションがうまく取れず、精神的にも不安定で、八方ふさがりの状態だったという。

 ある日、ネットで偶然に見たサイトが難関の突破口となった。法輪大法というウェブサイトで気功を知り、これが悩みを解決してくれると思ったという。「気功」と聞くと、腰痛やリウマチなど、西洋医学では解決できない慢性病を治療する手段だと思う人も多い。しかし、野上さんは、男性が気功を行っている写真を見て、精神の癒しにつながるはずだと確信した。

 その後、野上さんは妻と一緒にビデオを見ながら、煉功を始めた。煉功は立って行う動作と座禅を含み、2時間を要する。動作は思っていたよりも簡単で、座禅もすぐにできるようになった。野上さんはどんなに忙しくても、毎朝4時に起きて煉功することを自分に課した。次第に気が通って、あちこちに詰まっていた老廃物が取れたかのように身体が軽くなり、それまで悩まされていた不安感がなくなった。毎日がすがすがしいと感じ、生きる道がようやく開けたと感じるようになったという。東洋医学では、「心と身体は密接に繋がっている」というが、野上さんも身体が健康になるにつれて、心の病も治っていくのを実感したと話す。

 野上さんが始めた法輪大法という気功は、「心の修煉」を重視する。心と身体はひとつであり、心が病んでいては、身体の病も治らないという考えだ。気功で身体を浄化するのと同時に、心の修煉のための「転法輪」という本に、その教理が書かれている。その本には、「真」(誠実であること)、「善」(善良であること)、「忍」(忍耐すること)の三つの原理に従って生きることが人の道であると説く。

 すでに野上さんは心の病を克服しているが、職場での彼に対する偏見がなくなったわけではない。本を読み、「真」「善」「忍」の原理に従って生きることを決心した野上さんは、周りの人からの白い目や上司からの厳しい叱責にあっても、今ではじっと耐えることができると話す。「仕事では嘘偽りなく、忍を最高の境地と心掛けて臨む」ことを信条とし、常に明るく前向きに日々を送っているという。穏やかに、ゆっくりと話す野上さんの言葉に、嘘はないと感じた。

 うつや引きこもり、パニック障害など精神を病む人が増えている。薬に頼らずに、心と身体を治す気功を試してみてはいかがだろうか。

(文・郭丹丹)