6月21日に行なわれた天皇杯の2回戦。仙台×筑波大の試合などで波乱が起こった(写真は浦和×盛岡)。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 6月21日に各地で天皇杯2回戦が行なわれ、多くの波乱が起きたね。筑波大はベガルタを3-2で下す大金星を挙げた。大学勢としてJ1クラブを破るのは2009年の明治大、11年の福岡大、14年の関西学院大に続いて史上4校目、国立大としては初だ。

 
 さらに長野パルセイロ(J3)はPK戦の末にFC東京(J1)を、いわきFC(福島県社会人リーグ1部)は5-2でコンサドーレ(J1)を、アスルクラロ沼津(J3)は1-0でサンガ(J2)を、ヴァンラーレ八戸(JFL)は1-0でヴァンフォーレ(J1)を下した。
 
 天皇杯で番狂わせはよく起こる。Jクラブはリーグ戦によりベストなメンバーを送り込むため大きくメンバーを入れ替える。そのため、格下のチームにとってはサプライズを起こすチャンスなわけだ。ただ、プロがアマチュアに負ける姿は何度見てもがっかりさせられるよ。いくらサブ組が中心と言っても、プロとして意地はないのか。お金を払って応援しているサポーターに失礼極まりない話だよ。
 
 天皇杯はジャイアントキリングが見ものという考え方もあるかもしれないけど、Jクラブにはアマチュアに付け入る隙を与えない強さを身に付けてもらいたいね。
 
 もしかしたら各クラブは天皇杯を軽視しているのかもしれない。優勝チームにはACLの出場権が与えられるし、今大会から優勝賞金は1億円から1億5000万円に増額された。でも、各クラブとしてはリーグ戦を優先する傾向が強い。さらにルヴァンカップやACLまでスケジュールに加わっているんだから、天皇杯は“こなすだけの大会”になってしまっているのが現実なんじゃないかな。メンバーを落とすのはその証拠。まばらな観客席を見れば、注目度の低さも窺える。
 
 リーグ戦で残留争いをしているチームは、わざと負けたのではないかと邪推したくなる戦い方も見られるよ。それに比べ、アマチュアチームは格上相手にあわよくば金星をと狙っているわけだから、自ずと勢いの差は出てしまう。
 
 ただ、実際に格下に負けても監督交代という大事に発展する事態は少ない。それは周囲も「天皇杯で負けてもリーグで勝ってくれれば良いや」という感覚を持っているからじゃないかな。本来はプロなんだからシビアに結果で判断されるべきだけど、そういう甘い空気が選手や監督の慢心、油断につながっているとも感じるよ。
【PHOTO】日本代表戦の美女サポーターたち
 昔の日本リーグ時代は試合が少なかったし、天皇杯というトロフィーは誰もが憧れる名誉あるものだった。でも、時代は変わり、伝統のある大会の魅力は薄れてしまったと言わざるを得ないよ。
 
 もしかしたら、元日の決勝戦だけ、お客さんが入れば良いという考えもあるんじゃないかな。確かに毎年、決勝戦は満員に近い観衆が集まっている。でも、すでにリーグ戦が終わっている時期で、他チームへの移籍が決まっている選手や解雇が決定している選手も目に付く。「最後の試合」という点で感動を呼ぶかもしれないが、来季のチーム作りにはつながらない点では、僕なんかは冷めた目で見てしまうよ。
 
 もっとも今大会からは、3回戦から準々決勝まで対戦カードの下位カテゴリーチームが所属する都道府県の会場を優先して使われることが決まった。これまではなぜこのスタジアムで開催されているのかという試合が少なくなかっただけに(これまでは基本的にホーム側の所属する都道府県サッカー協会が開催権を持っていた)、こういう変化は続けていくべきだろうね。
 
 Jリーグだって今季から2ステージ制から1シーズン制へと戻し、来季からJ1とJ2の入れ替え戦を9年ぶりに復活させる案も浮上している。レギュレーション変更が上手くいくかは分からないが、より注目してもらえるような改革は行なうべきだろう。
 
 大会の威厳が増し、各チームの意地と意地がぶつかり合う熱い試合が増えることに期待したいよ。