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●やる気オーラに満ちた孫代表

ソフトバンクグループが21日に開催した株主総会では、孫正義代表の後継者問題に多くの質問が集まった。現在、孫氏は自身の後継者についてどう考えているのか。

○やる気オーラ

孫氏の後継者とされていたニケシュ・アローラ氏。同氏がソフトバンクグループの副社長から退任することが正式決定したのは、ちょうど1年前の株主総会のこと。これを機に孫氏の後継者問題は完全に白紙に戻ってしまった。

以降、昨年7月には3.3兆円に上るARMの買収を公表し、総額10兆円超の世界最大規模のファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の発足にまい進。ソフトバンクグループ自体も2017年3月期決算で、連結業績が営業利益、純利益ともに1兆円を突破するなど、数々の偉業を成し遂げている。

こうした新たなトピックスが増えていくたびに、孫氏から見えるのは"やる気オーラ"ばかりだ。5月の決算説明会の場で、1兆円達成の感想について聞かれても、「(ARMの買収で)本当のゴールドラッシュがこれからくるときに、引退を考えること自体が、早すぎたなと」「自分自身の反省点は60年近く人生を過ごしてまだ何も自分で誇れるものを達成できていない」「"ここから、本当に俺の人生がはじまるんだ"という思いでいっぱい」などと語っている。

こんな発言をされては、「後継者問題についてはどう考えていますか?」などと、とてもじゃないが質問できない。まだまだ現役を続行し、ソフトバンクの使命となる"情報革命の推進役"となろうとしていることは明白だ。

しかし、見逃さなかったのは、株主である。21日開催の株主総会では、風邪を引き、咳き込む孫氏の姿を見てか、後継者問題に多数の質問が集まったのだ。そして、質問によって、後継者に対する考え方も明らかになった。

●ソフトバンクグループの後継者は?

○後継者はグループから

孫氏は次のように話す。「原則として、我々グループのなかで、5年、10年、私とともにソフトバンクの重要な経営の役割を一緒に担って、十分に気心が知れて、十分に同じ方向で経営をひっぱっていってくれると。能力、人格に優れていると。そういう人物を後継者として指名しなければいけないなと思っている」。

ただし、ニケシュ氏が去ったばかりのことであり案があるわけではなく、今後10年かけて取り組んで行くべきこととする。「直近の二代目はおそらく、我々のグループのなかで活躍している経営陣から、選ばれることになる」とも孫氏は発言しており、すべての表現が推量となっている。後継者問題は孫氏の頭の片隅に置かれた課題になってしまったようだ。

ソフトバンクグループには、後継者育成を目的とし、2010年に開校したソフトバンクアカデミアもある。これについては「役員あるいは社長として活躍するメンバーが続々と出ている。そこからすぐ後継者として目を付けてはいないが、こういうことは継続してやっていくことに意義がある」と話す。

また、昨年12月に 孫正義育英財団もスタートしたが、これについても後継者育成とは結び付けておらず、「アカデミア、育英財団は3代目、4代目、5代目の経営陣を育成するのに役立つと思う」などと述べる程度だ。

○後継者は存在するのか

孫氏は今夏に60歳を迎える。経営者としては若くもなく、年をとりすぎてもいない。まだまだ活躍できる年齢だ。ここまで後継者問題がクローズアップされる企業も珍しいが、それは、孫氏がソフトバンクグループで果たす役割の大きさ、存在の大きさを反映しているとも言えるだろう。

問題は、孫氏の存在が大きくなればなるほど、後継者に求められる資質も高くなっていくと思われることだ。本気で後継者を探す段階では、ニケシュ氏を大きく上回る資質の持ち主と考えても不思議はない。ソフトバンクグループがさらに大きくなり、手がける分野が多岐に渡れば求められる資質にも変化が出てくるはずだ。「AIを後継者にするつもりは?」といった突飛な質問も株主総会では出たが、そう思いたくもなってくる。孫氏は「人工知能の能力は上がっていくが、是非、生身の人間に後継者になってもらいたい」と回答したものの、真に後継者が必要となった段階で、果たしてふさわしい生身の人間を見つけることができるのだろうか。株主の素朴な疑問が後継者問題の核心をついているようにも思えてくる。