画像提供:マイナビニュース

写真拡大

私は25年間、日本株のファンドマネージャーをやってきたが、銘柄を選別する時、営業利益率をよく見てきた。営業利益率は、長期投資する銘柄を選ぶ際に、とても重要な指標である。

世間では、ROE(自己資本利益率)を重視して銘柄を選別するのが、はやっている。ROEの高さも、重要な指標の1つには違いないが、私は、営業利益率の方がはるかに重要と思っている。銘柄選別において、ROEを話題にする人が多いのに、営業利益率を話題にする人が少ないのを不思議に思っている。

ひとことで言うと、営業利益率には、会社がやっているビジネスの競争力が表れる。営業利益率の高い会社には、差別化された製品またはサービスを持ち、業界シェアが高い会社が多い。一方、営業利益率が3%に満たない会社は、低シェアで過当競争におちいっている場合が多い。

日本では、一般的に営業利益率が10%以上あれば、高い方といえる。ただし、営業利益率は、業種によって水準が異なるので、何%以上あると競争力が高いと、単純に言うことはできない。

ただし、好況時に一時的に利益率が高くなっているだけの銘柄は、長期投資には向かない。鉄鋼や半導体製造装置など、景気敏感株には、好況時に高い利益率を出すが、不況時に赤字になることもある。そういう銘柄は、差別化された高い競争力を持っているとは言えない。

不況時にも高い利益率を維持している銘柄もある。NTTドコモや、東京ディズニー・リゾートを運営しているオリエンタルランドは、不況時でも高い利益率を維持してきた。差別化されたサービスで独占的な地位を有していることが、高利益率を生んでいる。

それでは、具体例をさらに見ていこう。今日は、12月決算から選んだ銘柄から具体例をあげる。利益率の高い会社には、何かキラリと光るものがある。

(1) 日本たばこ産業

日本で喫煙者が減少していることが不安材料となっているが、タバコは、認可を受けた企業だけができる独占的事業であり、高い利益率が得られる。独占的な事業では、一方的に値上げを宣告すると、社会的な批判を受けることが多いが、タバコだけはその例外になっている。喫煙人口が減少する中で、値上げを続けることで、高い利益を維持してきている。

海外で積極的にM&Aを実施し、海外で利益を成長させてきたことも高収益もつながっている。

最近、株価の上値が重くなっているが、近年、急成長している電子タバコで出遅れ、国内でフィリップ・モリスの「アイコス」にシェアを奪われていることが、嫌気されている。煙の出ない電子タバコが、タバコメーカーの主戦場となりつつある。ここでの出遅れは大きい。JTは、電子タバコ「プルームテック」を出して、これから巻き返しを図るところだ。

(2) トレンドマイクロ

インターネットのセキュリティ対策でリーダー的企存在。「ウイルスバスター」などの商品を持つ。個人向けは競争激化で、伸びなくなってきているが、最近、法人向けが大きく伸び始めた。2017年12月期の営業利益(会社予想)は、前期比9%増の375億円と、最高益を更新する見込み。

(3) 東計電産

クラウド・サービスが成長期に。2017年12月期の営業利益(会社予想)は、前期比10%増の26.6億円と、最高益を更新する見込み。

(4) ツバキナカシマ

ボール・ベアリング用の鋼球で高い技術力を有する。景気敏感株なので、好不況による利益率の変動はあるが、それでも、機械セクターの中では相対的には安定した高い利益率を維持している。

(5) ブリヂストン

タイヤで世界首位。米国で高いブランド力を持ち、高収益をあげている。中国製の安価なタイヤとの競争があるが、ブリヂストン・タイヤは安全性・耐久性で信頼高く、値崩れが起こりにくい。新車用タイヤは利益率が低いが、更新タイヤが利益率高い。更新タイヤは、好不況の影響が相対的に小さく、安定している。世界全体の自動車保有台数が伸びているので、更新タイヤの利益が安定的に伸びている。景気敏感株であり、為替や原料(天然ゴム)価格の変動の影響を受けて、大きく利益が変動することがあるが、自動車株よりは利益が安定している。トヨタ自動車の2018年3月期の営業利益率(会社予想ベース)は、5.8%であるが、ブリヂストンはそれを上回る12.5%の利益率を上げる見込みである。

○執筆者プロフィール : 窪田 真之

楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジスト。日本証券アナリスト協会検定会員。米国CFA協会認定アナリスト。著書『超入門! 株式投資力トレーニング』(日本経済新聞出版社)など。1984年、慶應義塾大学経済学部卒業。日本株ファンドマネージャー歴25年。運用するファンドは、ベンチマークである東証株価指数を大幅に上回る運用実績を残し、敏腕ファンドマネージャーとして多くのメディア出演をこなしてきた。2014年2月から現職。長年のファンドマネージャーとしての実績を活かした企業分析やマーケット動向について、「3分でわかる! 今日の投資戦略」を毎営業日配信中。

※写真と本文は関係ありません