先週、イギリスの高層マンションで起きた火災。最新の情報では79名が死亡、もしくは行方不明だと言われている。また、犠牲者を全員特定することは難しいとも…。前例のない大規模火災を前に、消防士たちはこれまで以上に自らの命を危険に晒し、燃え上がるマンションから大勢の住民を救ったのだそう。そんな彼らの活動を、イギリス出身の歌姫アデルがサプライズで労った。

<Independent>誌に寄せられた体験談によると、とある消防士は23階に取り残された人がいると聞いて階段を駆け上ったところ、9階あたりではすでに前が見えない状態だったそう。それでも20階あたりまで上り、限界ギリギリまで住民を救い出したという。他にも、自らのヘルメットや酸素ボンベを住民に差し渡した消防士も目撃されている。燃え上がるマンションへ、何度も突入していった消防士もいた模様。

これらの話を聞くだけでも彼らの命がどれだけ危険に晒されながらの消火活動となったのかは想像に難くないけれど、その深刻さが分かるツイートも話題に。

「消火活動前に、ヘルメットに名前を書くように言われた。それだけ大きな火事だと察する」

そんなヒーローたちを称えるべく、アデルがサプライズで訪れたのは消防署。その時のことを消防士はこう語る。

「突然女性が窓をノックして、私たちのためにケーキを持ってきたと言ったんです。ドアを開けると、彼女はサングラスを外し『アデルです』と自己紹介をしました。みんな唖然となってました」

火災が発生した直後も、夫婦でマンション近くまで駆けつけ住民や被害者家族などを抱きしめ、金銭面でのサポートもすると表明していたアデル。紅茶を飲みながら消防士の活動を労い、さらに1分間の黙とうをささげたそう。

ちなみに今回、消防士の活動を労ったのはアデルだけではない。ウィリアム王子やエリザベス女王も消防士や被害者のための避難所を訪れていた。さらに、本来王室と民間人は握手以外の触れ合いはしないという長年続く暗黙のルールがあるという中、ウィリアム王子は夫が行方不明になった女性を抱きしめた。

現在、寄付を呼びかけるほか、高級住宅地域内に社会住宅を建設するなど物質的な支援が行われている。しかし、悲劇的な事件や事故が続いているイギリスでは、きっとこうした人と人の触れ合いが人々の心を照らすはず。