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シャツに心拍数を計測するセンサーなどを縫い付け、スマートフォンにデータを転送することでいつでも健康状態をモニタリングできるスマートなウェアが少しずつ増えている。腕にはめるスマートウォッチのように、これらの製品もウェアラブルデバイスと呼ぶことができるだろう。だが洋服とIT製品の融合は「スマート」な使い方だけにはとどまらない。洋服本来のファッションの部分でITを活用する製品が出てきているのだ。

2017年6月に上海で開催された「CES ASIA2017」には中国のスタートアップ企業が多数出展していたが、OIMELABの「Super T」はスマートフォンをファッション用途に展開する取り組みで注目を集めていた。Super TはTシャツに縫い込んだLEDライトの点滅パターンや色を、スマートフォンのアプリで自由にカスタマイズすることができるのである。

つまりその日の気分に応じて、Tシャツのデザインを自分の好きなものに変更できるのだ。また点灯させるだけではなく点滅も可能で、右から左へ文字が流れるような点灯パターンを選ぶことも出来る。アプリには多数の絵や文字が内蔵されているが、手書きで自作の絵を登録することも可能だ。

同社はこのSuper Tをマーケティングツールとして展開することを考えている。LEDライト用の電池やスマートフォンと接続するためのBluetoothモジュールなどを内蔵しているために、一般人が購入して毎日Tシャツとして着て数日おきに洗濯する、という使い方はまだできそうにないからだ。とはいえそのあたりは技術的なものなのでいずれ改善されるだろう。そうなればTシャツを買う時にデザインを悩む必要はなくなり、Super Tを買ってあとはアプリで自由にカスタマイズする、なんて時代が本当に来るかもしれない。

またSuper Tの応用展開はファッション用途以外にも使えるだろう。たとえば年配者が一人で外を徘徊してしまったとしても、あらかじめ指定したエリアを離れたときにTシャツに「至急連絡してください。電話番号は090-XXXX」と表示するようにすれば、行方不明になってしまうことを防ぐことも出来るだろう。

あるいは子供に着せ、子供が遊びに行くときに着せっておき、体温が上がった時に「水分を取るように」という警告を表示するようにすれば、子供だけではなく周りの大人たちも身体の異変に気が付くだろう。つまりSuper Tはスマートフォンやスマートウォッチなどと違い、通知や警告を周りの人にも知らせることができるができるというわけだ。

LEDを使った通知という点では、Alcatelのスマートフォン「A5 LED」が面白い機能を持っている。A5 LEDは本体背面の全面にLEDが組み込まれており、点滅パターンを変えることでスマートフォンのカバーを変えるかの如く、本体のデザインを変更することができるのである。またメールやメッセージが届くと、そのアプリのアイコンを模したパターンにLEDの色が変わる。たとえばFacebookメッセージが届けば、ブルーの「F」のマークが背面に浮かび上がるのだ。

LEDは液晶と違い細かい文字や写真を表示することは無理だが、通知のためのアイコンやデザインのパターンを表示する用途としては十分使い物になる。身の回りのあらゆるものがスマート化していく中で、すべてのデバイスやモノにディスプレイが内蔵されていくのではなく、LEDのような安価で簡単なソリューションも見直されていくだろう。

さてファッションとITの融合製品に話を戻すと、バックパックの背面にE-Inkのディスプレイを搭載しモノクロの文字や写真を表示する製品や、ブレスレットの表面をE-Inkとしたものなどが過去に製品化されている。Sonyの「FES Watch U」も、時計の文字盤だけではなくベルトまでをもE-Inkとして自由なデザインを楽しむことのできる製品だ。

市場に出回っているE-Inkディスプレイはモノクロのため、液晶のようにカラー表示はできない。だがファッション用途にはそのシンプルな表示がむしろ向いているだろう。なおE-Inkは単色や数色のカラーディスプレイも製品化されているが、「色が見える」程度のカラー表示のために、製品の応用展開はあまり広がっていない。

IT製品は「生活を便利にする」という利便性を第一に考えて作られている。だがこれからは利便性の追求だけではなく「生活の中に自然に存在する」ような製品も増えていくだろう。洋服やアクセサリなどファッション分野にもこれからはITやIoTが進出し、スマートフォン一つでデザインや機能をコントロールする時代がやってくる。そのころにはスマートフォンそのものもファッションブランドが発売するだろう。これからはITだけではなく、ファッション関係の展示会にもスマートフォンを使った面白いソリューションが登場するかもしれないだろう。