ロールスロイス、プラット・アンド・ホイットニーと並んで「世界の3大ジェットエンジンメーカー」の1つに数えられるGEは、3Dプリンター技術を用いて旅客機用ジェットエンジンの部品を製造する世界最大の金属加工3Dプリンターの開発を発表しました。

GE Is Building The World’s Largest ‘Additive’ Machine For 3D Printing Metals - GE Reports

http://www.gereports.com/ge-building-worlds-largest-additive-machine-3d-printing-metals/

2017年6月19日に開幕した宇宙・航空関連の見本市「パリ航空ショー」で、GEグループ傘下のGE Additive(GEアディティブ)は従来よりも大きな航空機部品を3Dプリンターを用いて作る工作機械の開発を発表しました。完成の際には世界最大の金属用3Dプリンターになるとみられています。

この機械は、素材となる金属をパウダー状にして薄い層状に積み重ね、レーザーを照射して融解・硬化させるという、最新の金属加工技術「アディティブ・マニュファクチャリング」を用いたもの。従来とは比較にならないほど高い自由度を持つ金属加工を可能にし、航空機の部品に求められる強度と軽さ、信頼性を高い次元でバランスさせることが可能になるものです。

実際にアディティブ・マニュファクチャリングで金属部品を作っている様子は以下のムービーで見ることができます。

X LINE 2000R - LaserCUSING® machine with XXL build envelope - YouTube

加工を行うヒートベッドの上にセットされた白い粉が、素材となる金属の粉。この上に金属粉を積み重ねることで金属パーツが「成長」するように作られていきます。



金属粉を、薄く敷き詰めて……



硬化させたい部分にレーザー光を照射。



高いエネルギーを帯びたレーザー光を受けた部分の金属粉は、火花を上げながら一瞬で溶解。そのまま土台の部分と一体化し、1つの金属部品へと形づくられていきます。



レーザー光の走査が完了し、1つの層の加工が終了。ここにまた金属粉を敷き詰め、少しずつ形状を変えながら積み上げることで立体的な部品を作り出すことが可能です。



加工が完了し、余分な金属粉を吸引すると……



このような複雑な部品が出現。この部品はデモ用のサンプル(デモワーク)ですが、どこにも溶接や切削は行われておらず、完全に単体の部品として作り上げられるという、従来の金属加工では考えることができなかった加工を実現しています。特に、土台部分のハニカム構造や、パイプの組み合わせの上に乗せられたパーツ部分の形状は、3Dプリンターならではの仕上がりといえます。



このような立体的な構造物も、従来のような砂型を使わずに作り出すことが可能。コンピューターで作った形状データと3Dプリンターさえあれば、複雑な形状の部品をいつでもどこでも作ってしまえるというメリットを享受することができます。



従来は「成型・切削・接合」が主だった金属加工の新たな技術として成長を続けているアディティブ・マニュファクチャリング(=付け加える製造法)は、金属素材を溶かしながら積層する、つまり文字どおり「付け足す」ことで加工品を作り上げるという技術です。3Dプリンター技術を金属加工に応用したもので、これまでは砂型や加工技術の制限で実現できなかった金属部品の構造をいとも簡単に実現してしまうという、エンジニアにとっては「魔法の道具」とも言える技術として注目されています。

GEではすでに、3Dプリントで作成された燃料ノズルを採用したエンジン「LEAP」を、GEアビエーションとフランスの「スネクマ」による合弁事業「CFMインターナショナル」から登場させています。LEAPシリーズは主に小型の単通路機向けに使われるエンジンで、2017年4月ごろからLEAPエンジンを搭載したエアバス・A321neoやボーイング・737 Maxの顧客への引き渡しが始まっているほか、中国の航空機メーカー・COMACが初飛行を成功させるなど、活況な小型機市場での存在感を示し始めている状況。



By Boeing

GEアディティブが発表した新たな加工機は、加工可能な領域「ワークサイズ」が、タテ・ヨコ・奥行きがそれぞれ1メートルという非常に大きなものとなり、大型ジェットエンジン部品の製造も可能になるとのこと。2017年11月に開催されるアディティブ・マニュファクチャリングの見本市「formnext 2017」では、実機が展示される予定になっているとのことです。

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