連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第12週「内緒話と、春の風」第69回 6月21日(水)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:渡辺哲也


69話はこんな話


「あらあら、アパートの部屋だけで終わってしまいますねえ」(増田明美のナレーション)
と言うように、ワンシチュエーションコメディふうの回だった。

早苗と島谷、ツンデレ勝負


次の次の朝ドラ「半分、青い。」(18年)のヒロインが、永野芽郁に決まったと発表が6月21日にあった。
「わろてんか」の葵わかなに続いて、スターダスト所属俳優。大河ドラマ「おんな城主 直虎」の柴咲コウも同じ事務所で、スターダスト強し。

新田(岡山天音)の相棒・坪内祐二(浅香航大)が帰って来た。
「良かった」とみね子が喜ぶと、その横から身も蓋もない冷たい言い方をする早苗(シシド・カフカ)。
「ほんとに冷たい人はあんなに人のことを長く語ったりしないと思う」「みんなとの会話を楽しんでいる。実はおしゃべり好きな人で 照れ隠しで意地悪な言い方しかできない」と、要するに「ツンデレ」について冷静に解説する島谷(竹内涼真)。
たぶん島谷も同類だろう。なんとなく、早苗と島谷、お似合いな気がした。

いい話と思いきや・・・


坪内が故郷に行きっぱなしで帰ってこなかったわけを語る。
「ちょっといい話を想像してたんですが・・・」
 みね子がそう思って聞いていたところ、そうでもない話になってきて、でもその後、「やっといい話になってきました」(みね子)となり、合わせて悲しげな劇伴もかかる。
この調子で、何回か上げ下げが続き、そのたびに、それっぽい劇伴がかかる。
こういう笑いは、志村けんのコント番組を思わせるが、「ひよっこ」の時代は、ハナ肇とクレイジーキャッツが「シャボン玉ホリデー」で「おとっつあん、おかゆができたわよ」(物悲しい音楽で盛り上げる貧乏コント)コントをやっていたので、同時代を描く「ひよっこ」、あえてそういうノリを取り入れているのかもしれない。

結局、坪内が東京に戻ってくるのが遅くなったわけは、「恋」だった(ここも、劇伴で盛り上げる)。
その相手は、内藤洋子似と聞いて、男たちは、にやにや。島谷までにやにやにやして、みね子は心象を悪くする。
「気をつけろ。男っていうのはこういうくだらないところでは妙に理解しあうところがあるからな」と早苗がまた正論を吐く。

内藤洋子は、1965年、黒澤明監督の「赤ひげ」で映画デビューして、66年にはテレビドラマに映画に大活躍していた茨城県生まれの美少女。少女漫画雑誌のモデルをやっていたというところが、漫画家の心をくすぐる人物としてふさわしい。
活動期間はとても短く、70年には結婚して引退してしまう。早くに結婚というと、先日のAKB総選挙2017を思い出しますね(増田明美さんの口調で)。

みね子の心の暗部・・・


漫画家としての進退に悩む漫画家コンビは、漫画を知らないみね子の意見が聞きたいと言い出す。

みね子は彼らの漫画を読むが「お父さん、どうしたらいいんですか(間)つまんないです」と心の声を発す。だが、顔は笑っている。
「今のは嘘です。ちょっと笑ったほうがいいかなと」と思ってのことだった。そして、「ふたりともとっても嬉しそうで わたしはどうしていいかわからなくなってしまいました」と葛藤に苦しんだ結果、涙ぐむみね子の姿に、漫画家のふたりは舞い上がってしまう。
 
 みね子、なんて罪な女なんだ。これって太宰治の「人間失格」みたいではないか。
 劇伴を使ったコント的なエピソードといい、このエピソードといい、15分間、アパートの一部屋での話をダレずに描くためには、こういうメタ構造にする方法があるという見本ですね(増田明美さんの口調で)。

気になる張り紙


「1日3ページ 寝るなら1コマ」と自分たちを鼓舞する張り紙に、シャーロック原稿をしろbotを思い出した。
共同炊事場には、富(白石加代子)が貼った「老人を大切に」があって、それによって、みね子たちは食事を彼女にも分けることになるのだ(67話)。
島谷論でいけば、富もきっと、みんなと仲良くしたいのだろう。
(木俣冬/「みんなの朝ドラ」発売中)