photo by Dick Thomas Johnson

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 痴漢に間違われたら人生終わる……と考えている人は多いだろう。通勤や帰宅時、ラッシュアワーに揉まれていると、突如、

「痴漢です!」

 と被害者(と名乗る相手)に腕を掴まれてしまう。

 その後は駅員室に連れ込まれ、警察官に逮捕されてしまい、拘留、起訴(不起訴)となる。その経緯についてはこれまでにも述べてきたが、万が一、会社や家族にバレれば無事では済まない。恐怖のあまり逃亡を企てたりする人の心理もわからないではない。

 しかし、痴漢事件によるダメージは、社会的な信用や家族との絆だけではない。経済的にも大きなダメージを受けるのである。具体的にいくらくらいの出費が予想されるのか?“事件の終わり方”によってさまざまだが、今回はそうした経済的な損失について紹介しよう。

 筆者は痴漢の疑いを掛けられ、写真撮影や指紋採取までされたことがある。これは筆者の体験や取材に基づく事実である。本稿では、ただ事実を淡々と説明するにとどまる。法的なアドバイスについては専門家の意見を参考にしていただきたい。

◆痴漢事件の終わり方は人それぞれ

 痴漢事件の発生は、被害者が被疑者を訴え出ることで始まる。ただ、その終わり方はケース・バイ・ケースで、

1.当事者同士の話し合いによって終わる
2.警察に通報され、逮捕されてしまった結果、罪を認めて“略式起訴”で罰金を支払って終了
3.警察に逮捕されても容疑を否認し、捜査のした結果、不起訴処分になって終了
4.逮捕されても容疑を否認し続け、検察に起訴されて正式裁判にまでもつれ込み、有罪判決を受けて罰金刑で終了
5.逮捕された上に起訴され、何年も裁判を戦い抜いた結果、無罪を勝ち取って終了

 といったパターンが考えられる。

◆当事者同士で事件が終了することも?

 この場合、最も望ましいのは「1.当事者同士の話し合いによって終わる」だ。

「この人痴漢です!」

 と、被害者に腕を掴まれてしまった場合、まずは最寄の駅で降り、被害者と直接話をするのが普通だ。この時、被害者との話し合いの中で誤解が解けたり、被害者に謝罪することで、警察沙汰が防げることもあるのだ。

 そうした痴漢事件の終わり方は、ある意味、理想的だとも言える。しかし、多くの場合感情的になっている被害者に冷静な話し合いはできず、誤解を解くのは至難のわざだ。また、謝って済ませてもらえる可能性も低いだろう。

 とはいえ、話し合いで誤解が解ける可能性はゼロではないので、努力をしてみる価値はある。“幸運”にも相手が誤解だと理解したり、謝罪を受け入れてくれさえすれば、痴漢事件における経済的損失はゼロだ。

◆痴漢事件を示談するときの相場は?

 もうひとつ警察が介入する前の段階で話し合いで事件を終わらせるのは、被害者に対して示談を持ちかけることである。この点は交通事故の揉め事と同じだ。

 痴漢事件の示談の相場は、罪状にもよるが、

・迷惑防止条例判:10万〜50万円
・強制わいせつ罪:30万〜100万円

 と言われている。

 ただ、これは事件に警察や弁護士が介入した後でわかる話だ。まだ警察も弁護士も登場しない状態であれば、相場などあってないようなものである。つまり、何円で済ませられるかは、痴漢容疑を掛けられた本人の交渉次第だ。

 痴漢事件の示談の相場となる10万〜100万円の現金を普段から持ち歩いて、電車やバス通勤している人はそういないだろう。だから相場といえる示談金をその場で支払える人も滅多にいない。とはいえ、痴漢行為をされたと思っている被害者が、加害者相手に自分の個人情報を教えることに、なかなか素直に同意はしないだろう。

◆痴漢事件を最も早く事件を終わらせる方法とは?