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 債務超過問題で揺れる東芝は21日、東芝メモリの売却交渉で官民ファンドの産業革新機構を軸とした、日米韓連合と優先的に交渉すると発表した。同日午前に開いた取締役会で決議したと、日本経済新聞をはじめ各紙が伝えている。

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 昨年末に発覚し、公表される度に額が拡大しているかの印象を抱かせていた債務超過問題を解消するための半導体事業売却は、いよいよ最終章に向けた具体的な交渉が始まる。しかし、この問題の結末は関係者の誰にも見通せない闇の彼方にある。

 (1) 金額問題

 債務超過問題をスムーズに解決するために2兆円以上での売却を目論む東芝経営陣の思惑が果たして実現されるのか?東芝メモリの売上高は8456億円(16年3月期)、営業利益1100億円の同事業を2兆円以上で購入するには重大な決断が必要となる。日米韓連合が重大な決断を共有できるのか?

 (2) 独禁法審査問題

 「東芝メモリ」の世界シェアは19.3%を占めていることから、同業他社が買収する場合は独禁法の審査対象となる。日米韓連合の一員である米投資ファンドのベインキャピタルが連携する韓国SKハイニックスとの絡みで審査が長引く可能性がある。

 (3) 現在の協業先が売却に反対している

 現在、東芝との半導体事業に関する合弁会社で協業している米ウエスタンデジタル(WD)が、東芝メモリの他社への売却に猛反対している。WDは、国際仲裁裁判所に仲裁申立書を提出したうえで、米裁判所に売却差し止めを求めて提訴を行い、21日改めて売却に反対する声明を発表した。「同意なしに同事業を第三者に譲渡する権利はない」と主張し、「裁判を通して合弁会社の利益を守る」と強調した。強硬一辺倒とも取れる姿勢だが、WDにも弱みはある。四日市工場で製造されたチップは一定シェアで分け合い、それぞれが販売する。土地、建屋などを東芝が提供し、工場のオペレーションも東芝側が行っている。東芝の協力なしに事業を行うことは簡単ではないのだ。今後の交渉で落し所を探る余地はあると思われる。

 以上の問題点を抱えながら推移する交渉から目が離せない。