医者を好み、医者と付き合い、結婚することを目指す。

そんな女性たちを、通称「ドクターラバー」と言う。

都内で一般職のOLとして働く野々村かすみ(28)も、そのひとり。

彼女たちはどんな風に医者と出会い、恋に落ちてゆくのか?

そして狙われた医者はどんな女性を好み、生涯の伴侶として選んでゆくのか?

これは、ドクターラバーと医者たちの恋愛模様をリアルに綴った、ストーリーである。

慈恵医大出身のドクター2人とお食事会をすることになったかすみと、同期の里帆。お食事会の結果と、ドクターの本音とは。




生粋のドクターラバー・里帆が回想する、2年前。


先日参列してきたかすみの結婚式は、ひと言では言い表せないものでした。

「エマリーエ」のドレスに身をつつみ、静かな足取りでヴァージンロードを歩くかすみ。

二の腕を隠した控えめなデザインのドレスを着たかすみは、とても可憐でした。

普段、目が笑っていない、冷酷無比だなんて辛らつな評価を受ける私も、戦友の晴れ舞台に感極まって泣いてしまって…。鬼の目にも涙、なんて同期にからかわれました。

かすみが彼と誓いの言葉を交わすのを見守りながら、運命の歯車が回りはじめた2年前のことをふと思い出しました。


運命の歯車が回り出した、お食事会


26歳の頃の私は、プロ彼女ならぬ、プロ・ドクターラバーといっても過言ではないくらい、ドクターたちと出会える世界にどっぷりとハマっていました。

大学から始めたドクターとのお食事会の回数は、優に100回を超えていたのではないでしょうか。

城之内さん、浅見さんたちドクターと出会ったのは、ちょうどその頃。

彼らのことは、別のドクターの友人から紹介していただきました。慈恵医大出身者と聞いて、私もかすみも胸が躍ったのを覚えています。

東京の私大出身ドクターは、家柄が良い人が多いんです。私立の学費は国立よりも数百万単位で高いので、そこにお金を出せる余裕のあるご家庭。

代々医者だったり、あとは経営者、大企業の役員をお父上に持つ方もいらっしゃいます。


ドクターラバーが語る、最も総合点が高いドクターとは?




総合点が最も高いのは、「私大出身×内科医」


おふたりは、30代前半で慈恵医大の内科医でした。

大学病院は、月給はさほど高くありません。30代だと額面は35万円くらいです。非常勤アルバイトでの収入を足して、手取り50万円くらいでしょうか。

でもそこに勤めるのは、若いうちに臨床経験をたくさん積みたいとか、研究をしっかりやりたいという、意識の高い方が多いんです。

さらに、内科医というのも、私たちの興味を強く惹きました。

ドクターの中では、耳鼻科や眼科などに比べると、外科と内科の方が花形のイメージがあるようです(こんなことを言ったら、怒られるかもしれませんが…)。

中でも花形といえば外科ですが、派手な方が多くて。お金遣いもそうですが、見た目がEXILEみたいにこんがり黒く焼けた方々にも、たくさんお会いしてきました。

一方で内科は、(あくまで私の統計ですが)優しくてこまやかな方が多いと感じます。ずっと患者さんに寄り添いながら、体調を管理する仕事柄でしょうか。

だからドクターラバーとしては、幸せな結婚をしたいなら、最も総合点が高いのは「私大出身×内科医」といえますね。

あちらの幹事の城之内さんはその日、麻布十番の『マンシーズ トウキョウ』の個室を予約してくれました。東京私大出身のドクターは大学の頃から遊び慣れていますから、やはりお店選びは外しません。

城之内さん、浅見さんと対面したとき、胸が高鳴ったのを今でも覚えています。おふたりとも、外見まで素敵だったから…。

城之内さんは、爽やかで甘いルックス。笑顔のときに目尻が下がるのが可愛くて。

浅見さんは、銀縁のめがねをかけていて、冷静沈着という第一印象。強いて言うなら、最近私が好きなドラマ「リバース」の玉森裕太さんのような雰囲気でした。

私の第一印象は城之内さんの方が良かったのですが、お食事会が進むにつれて、城之内さんはかすみの方を多く見ているな、と気づきました。視線って、気を配っていても本音が出てしまいますよね。

だから、私は浅見さんにフォーカスすることにしました。

私のモットーは、「自分の市場で勝負する」です。自分と真逆のタイプの女性に好感を持つ男性を狙うなんて、時間の無駄です。

世間には、恋心と執着心を混同して、自分好みの男性を追い続ける女性もいますが…それは、浅はかな行為。無駄なプライドなど捨てて、効率の良い恋愛をするべきです。

ドクターという最上位層を狙う女なら、それくらい強くなくちゃ。関が原の合戦のごとく激しい攻防が繰り広げられる東京の恋愛市場では、勝てません。


ドクターが好む女性、苦手な女性とは?




ドクターが好む女性、苦手な女性とは?


城之内です。34歳で、慈恵医大で心臓内科医をしています。

先日のかすみさんと里帆さんとのお食事会、とても楽しかったと記憶しています。

里帆さんは、サバサバしていて意志が強そうな方。かすみさんは、ふんわりと少し儚げな雰囲気のある方でした。おふたりとも、とても綺麗でしたね。

僕個人としては、かすみさんの方が好みでした。

結婚したら美味しい朝ごはんを用意して、優しく起こしてくれそうだなと。僕は忙しいことをいいわけに、家事をほとんどしないので…。

僕に限らず医者は、おしとやかな雰囲気の、清楚な女性を好む人が多いのではないでしょうか。

聞き上手で知性もあるけれど、決してでしゃばりすぎない、一歩引いたタイプ。

東京の私大出身の医者は家柄が良いことも多いので、両親が相手の女性にも知性や教養を求めることが少なくありません。僕の医者仲間には、「4大を出ていない」という理由で看護師さんとの結婚を反対された奴もいました。

例えば、白百合やフェリス女学院などのお嬢様大学を出ているとか。音大もいいですね。学費が高いので家柄が伺えますし、医者にはない芸術というクラシックな領域の才能を持っているというのは、評価が高いです。

正直、僕自身はあまり、出身大学には重きを置いていませんが…。

また、医者はずっと忙しい職業なので、結婚したら、妻には家にいてもらえると嬉しいですね。気になった女性には、「結婚しても働く予定はある?」と最初に聞く医者もいます。

逆に、医者が苦手なタイプの女性ですか?いわゆる…バリキャリでしょうか。

医者はやはりプライドが高いところがあるので、強くもの申してくる女性は、苦手なんです。それに社会的視野が広くて忙しい方だと、自分が普段病院という狭い世界にいるせいか、コンプレックスを刺激される部分も、正直あります。

「知性や芯があり、男性を立てられる女性」

ひと言で言うと、これに尽きます。バランスが難しいですが。

かすみさんも里帆さんも素晴らしい女性だと思いますが、里帆さんは少し、「医者狙い」というステータス重視の雰囲気が出ていたように思います。

僕の科に、ものすごい美人な方と結婚した先輩がいたんですね。

でも、結婚してから手も握らなかったそうで。子どもは1人いるのですが、最近、離婚しました。「お互いステータスでしか相手を見ていなかったんだな」と寂しそうに言っていました。

僕はやはり、内面もマッチングする方と結婚したい、と思います。

お食事会に一緒に連れてきた後輩の浅見は、どう感じたのかな。終始大人しかったから、良く分からないけど。

僕はとりあえず、1度かすみさんをデートに誘ってみようかと思っています。

▶NEXT:6月29日木曜更新予定
かすみと城之内の初デート。医者がよく行くデートコースとは…?