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独立系半導体ナノテク研究機関であるベルギーimecは、5月16〜17日にかけて、ベルギー・アントワープで年次研究方針発表会ともいえる「imec technology forum 2017 Belgium(ITF 2017)」を開催した。

imecにとっては、同じベルギー・フランダース地方政府が設立したICT・デジタル技術の非営利研究組織(各大学分散研究機関)であった「iMinds」を吸収統合した後の初めてのITFとあって、「Nano-Bytes Creating Magic(imecのナノエレクトロニクスと旧iMindsのデジタル技術を融合するマジック(魅惑的な研究成果)を創造する」というメインテーマを掲げたものとなった。ちなみに、聴講料は750ユーロと、少々高めであったにもかかわらず、世界中から約1800名が参加した。ただし、日本からの参加者は見たところでは少ない印象を受けた。

今年のITFの最大のハイライトは、imecの半導体技術およびシステム研究開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデントであるAnn Steegen氏(図2)による1.4nm(14オングストローム)のプロセスを実現するに至る半導体デバイス・プロセス研究開発計画に関する詳細な発表だった(図3)。

14nmノード世代で本格的に採用されるようになったFinFETについて講演にてSteegen氏は、先日のVLSIシンポジウムでのIBMの発表にもあるように、「微細化が5nmを切るあたりから、その構造上の限界から積層ナノワイヤFETへ移行することが見込まれているが、ロジックSoCを実現するためには、従来のように1種類の技術を選択するのではなく、1チップ上で、FinFETとナノワイヤFETやトンネルFET、スピン波トランジスタなどいくつもの新デバイスを複合的に用いる必要が出てくるだろう」との見解を示したほか、併せて、新たなメモリも次々と登場してくることで、まったく新しい非ノイマン型(von Neumann)コンピュータ向けの半導体チップも開発される可能性があるとした。

○多くの人が信じる3nm時代の到来

Steegen氏は、講演を始める前に、スマートフォンアプリを用いて聴衆アンケートを行ったのだが、その質問内容は「半導体業界は、将来3nmを超える技術ノードに到達すると信じるか?」をイエスかノーかで答えるものであった。結果、約1800名の聴衆の7割弱がイエスを回答。これに対して、Steegen氏は「"信じる"と言ってくれた皆さん、ありがとう。"信じない"と答えた3割の方々には、その認識が間違っていることをこれから証明してみせましょう」と言って、imecの半導体微細化プログラムについて詳細に紹介を始めた。

Steegen氏は、これまで半導体微細化は、それそのものが目的ではなく、IoT関連のエンドプロダクト(最終製品)開発、さらにはそれを用いたサービス提供を実現するための先端デバイスが必要であり、そのために先端プロセス技術を進化させ続ける、つまりプロセスの微細化こそが、IoT時代のインフラ技術に直結していることを強調してきた。今回の講演でも、同氏はまず最初に半導体を応用した最新のエンドプロダクトの要求スペックを紹介した。

例示されたのは3種類の最新エンドプロダクト。(1)サーバラック、サーバPC、ゲームPC 量子コンピュータ、ホログラフィなどの高性能製品、(2)自動運転、AR/VR(拡張現実/仮想現実)、スマートフォン、スマートウオッチなどのモバイル製品、(3)ヘルスケア・パッチ、フィットネス活動量計、ペースメーカー、環境センサなどのIoT端末を、消費電力とシステム性能で分類すると以下の図のようになる。

性能は高くないが低消費電力が要求されるIoT端末には、主に130〜28nmのバルクCMOSか、28〜22nm FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)が用いられてきた。性能、消費電力とも中間に位置するモバイルには65〜10nm CMOSが、消費電力が大きくなるのは避けがたい高性能製品には65〜14nm CMOSが用いられてきた。

今後は、すべてのカテゴリで性能向上による高付加価値化に向け、以下の図に示すように、さらに微細なプロセスが用いられるようになる見通しだ。具体的には、高性能分野では、10〜3nm CMOS、そしてさらにはそれよりも微細なプロセス。モバイルは7〜3nm、そしてそれよりも微細なプロセスさらにはその先、IoT端末では、12nm FDSOIあるいは14nm CMOSが主に使われるだろう。

次回はこれらの要求をふまえて、3nm技術ノード、さらにはその先に向けたimecの半導体微細化の研究開発ロードマップを紹介したい。

(次回は6月22日に掲載します)