歓喜する高橋(41番)、大井、川辺(40番)。アグレッシブな守備が勝因に挙げられる。写真:サッカーダイジェスト

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 [J1 15節]浦和レッズ 2-4 ジュビロ磐田/6月18日/埼玉スタジアム
 
 浦和が基本布陣が同じ3-4-2-1の磐田に、スコアでも、そして内容でも上回られた。まさに「完敗」と言える内容で、埼スタに小さくない衝撃(インパクト)をもたらした。

 一方、磐田にとっては、開幕からの試行錯誤を経て、大黒柱の中村俊輔を欠きながらも全員が役割をまっとうして掴んだ、前節のG大阪戦(〇3-0)などとはまた意味の異なる、ベストゲームとなった。
 
 試合後のペトロヴィッチ監督は「磐田のほうが私たちより走り、フレッシュな動きを見せた。浦和の選手は動きが重く、一歩二歩相手に遅れ、アイデアも乏しく、自分たちらしいサッカーを展開できなかった」と悔やみ、内容的にも不甲斐なかったことを珍しく認めた。

 その言葉通り、浦和は全体的にパフォーマンスが冴えなかった。GK西川周作の2失点に絡んだ痛恨のミスが、試合を動かしたのは確かだ。ただ、両チームのなかで、とりわけ対照的に映ったのが、3バックの”アグレッシブさ”だった。
 
 磐田はCF興梠、シャドーの李と武藤、MF柏木に前を向かせて自由にプレーさせない守備を徹底。森下俊、大井健太郎、高橋祥平の3バックの出足は鋭く、特に興梠に対する厳しいチェックで起点を作らせなかった(その中で、浦和の2点目の阿部のゴールは、興梠の技ありのターンから生まれたもので流石だった)。
 
 3バックとウイングバック(櫻内渚&小川大貴)の守備の役割分担も明確だった。素早くリトリートしたあと、5人で守備ゾーンを区分けして受け持ち、自分のゾーンに入ってきた際は、襲い掛かるようにボールを奪いに行っていた。

 とはいえ、劣勢時はバランスが悪かった。名波浩監督は2失点目を喫したあと、「森下のいた左サイドの距離間が悪く、3メートルほど内側に意識を持たせた」と、修正を施したことを明かしている。
 
 一方、浦和はウイングバック(関根貴大、宇賀神友弥)と3バックの距離感や連動性が悪く、3バック(+ボランチの阿部勇樹や柏木陽介)が追われる受け身な守備が続いた。攻撃時に両ウイングバックが高く位置をとる独特の戦術の裏を突かれたとも言えるが、槙野智章と森脇良太の両ストッパーが広範囲をカバーして、走らされる時間が続いた。しかも相手はアダイウトンや松浦拓弥といった、スピードに乗らせると止められない自由奔放なアタッカー。一段と後手を踏んだ。
 
 守備の規律があり徹底されていた磐田、守備の規律が曖昧でことごとくスペースを狙われた浦和。今回はそのあたりがより浮き彫りになってしまった。
 
 トラッキングデータをチェックしてみた。あくまで参考のデータだが、今回の攻防の行方が客観的に見えてきそうだ。
 
▷総走行距離
▶全選手
浦和・112.246キロ
磐田・115.22キロ

▶3バック合計
浦和・31.232キロ
磐田・30.202キロ
 
▷総スプリント数
▶全選手
浦和・174回
磐田・188回
 
▶3バック
浦和・40回
磐田・55回
 
 総走行距離は、全体では磐田が上回っている。しかし3バックのみだと、浦和のほうが多く走っている。この日は、明らかに浦和の3バックのほうが「走らされている」というシーンが多く、それが反映されたデータとなった。
 
 一方、スプリント数は、15本差。15本は宇賀神や櫻内がこの日記録したひとり分のスプリント数にあたる。大井と高橋が19回、森下が17回。一方の浦和は森脇が17回で、遠藤が13回、槙野が10回。
 
 大井や高橋の積極的なプレスが90分間効果的にハマっていた。彼らは自分のゾーンに入ってきた選手に対し、恐れずプレッシングを仕掛けていた。そのプレスに浦和のアタッカー陣も苦しみ、連係を分断された。浦和よりも”前向き”な守備を貫けていたことが分かる。