絶好調の食品スーパー ヤオコーに見るモチベーションの上げ方

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 ニトリホールディングスと食品スーパーのヤオコーが、上場企業にあって最長の連続営業増益(27期)を続けていると、19日の記事で伝えた。ニトリ商法については語られる機会も多いが「ヤオコーの何故」は余り知られていない。日銀の黒田東彦総裁は「デフレ心理の払拭は容易でない」と公言している。強いデフレ心理下「価格競争」を余儀なくされ、総じて不振の食品スーパーにあってヤオコーは何故強いのか。今期も28期連続営業増益計画で立ち上がっている。

 「提案型売り場に定評」と四季報・特色欄などにはある。だが、レシピ料理を店舗内で実際に作りながら食材の販売を図るスーパーはいまや決して稀ではない。

 私は店舗現場の主役であるパート社員に対する厚遇が、「27期」の最大の要因と捉えている。現場の高い士気。具体的には次の様な施策が執られている。

(1)賞与の支給:パート社員(に比べ勤務時間が短いヘルパー社員を含め)にも年に2回、正社員と同様夏・冬のボーナスが支給されている。そして支給額はガラス張り。「時給×勤務時間」。「11月にはいくらいくらの賞与が手に入る」ことがあらかじめ分かっているのは、パート社員にとり「やる気」を生み出す源泉となろう。また年度末に期初計画通りの増益となった場合は、正社員同様「年度末手当(冬季賞与相当額)」が支払われる。

(2)昇格:店舗の各持ち場の直接的な責任者(主任)は、パート社員から登用されている。レジ・商品棚チェック・品出し主任は全員がパート社員。レジ主任は「多少時給が高くなる程度で」とお茶を濁したが、まんざらでもない風。(パートの)現場に適当な競争意識を培養するのも、現場に士気向上を醸し出す方策といえよう。

(3)組合員:パート社員が抱える最大の不安は、「いつ何時、契約解除を言い渡されるかもしれない」という思いであろう。安定雇用こそ望むところ。同社では対応策が用意されている。「希望者はパートでもヘルパーでも、組合加入OK」。所詮御用組合だろう、と言っては実も蓋もない。組合員であることが「安定雇用」を望む心の支えになる。

 ちなみにヤオコーの労働組合員数は、約1万2400人。正社員数は約2500人であることを勘案すると多い。上部団体のUAゼンセンでは「加盟労組の中でも、頭抜けた組合員数」とした。「大雑把だが」と前置きをして、ヤオコーの正社員以外の組合員数を「契約社員が100名強。パート社員が980名強。ヘルパー社員が500名強」と話してくれた。

 記した(1)〜(3)の施策は、元会長で現会長・社長の母親に当たる故川野トモ氏によって整備された。トモ氏は川野家のお嫁さんである。