関連画像

写真拡大

特許庁は6月21日、一部の出願者から出願手数料を支払わない商標登録出願が大量になされているとして、HP上で審査の流れを改めて説明した。商標登録は基本的に早いもの勝ち(先願主義)だが、先願の手続きに不備が判明した段階で、後願の審査を始めているという。

同日から、後願の出願者に送る通知書に、先願が手数料を支払っていないなどの情報を付記する運用も開始した。

担当者は「これまでは『先願がある』とだけしか通知しておらず、不親切だと判断しました。出願料を支払わないなど、先願に問題がある場合、待っていれば登録できる可能性が高いので、諦めないで出願してほしいです」と話している。

商標登録出願をめぐっては、当事者とは関係のない第三者からの出願が相次いでいる。特に上田育弘氏と関連企業のベストライセンス社は、「民進党」「ペンパイナッポーアッポーペン」「PPAP」など、2016年に約2万5700件の出願をしており、そのほとんどで出願料を支払っていないとみられる。

●手数料なしの出願がなければ、「待ち時間はゼロになるのに…」

今回改めて、審査の手順を説明したことについて、担当者は次のように話している。

「誤解が広まっているようなので、リリースを出しました。手続きに不備があり、是正もされない出願は、通常4〜6カ月で却下されます。実際には、かなり昔から却下を待たず、後願の審査を始めています。しかし、却下されてから審査が始まるという誤解があって、時間がかかるなどの理由から、出願を見送る人がいたのではないかと考えています」

ただし、後願は審査に合格しても、先願が却下されるまでは商標登録できない。つまり、悪意のある出願のせいで、却下にかかる4〜6カ月から後願の審査期間を差し引いた分の時間だけ、登録に時間がかかっていることになる。

「出願手数料がないのは、ほとんどが特定の方。こういう出願がなければ、待っている期間はゼロになるんですが」と、担当官も困った様子だった。

(弁護士ドットコムニュース)