AMDのマイクロアーキテクチャ「Zen」を採用するコンシューマー向けCPU「Ryzen」シリーズは、IntelのCPUを圧倒する高いコストパフォーマンスでAMD復権を印象づけました。そのZenを使ったサーバー向けCPU「EPYC 7000」シリーズをAMDが正式に発表。AMDの業績回復に直結する高い利益率を誇るエンタープライズ市場を、絶対的王者のIntelから根こそぎ奪うべく、22コアのIntel Xeonを47%も上回る性能の32コア「EPYC 7601」や、16コア/32スレッドで650ドル(約7万2000円)からという圧倒的なコストパフォーマンスを見せる下位モデル「EPYC 7281」などを含むラインナップを明らかにしました。

AMD's Future in Servers: New 7000-Series CPUs Launched and EPYC Analysis

http://www.anandtech.com/show/11551/amds-future-in-servers-new-7000-series-cpus-launched-and-epyc-analysis

AMD EPYC 7000 Series Server Processors Officially Launched

http://wccftech.com/amd-epyc-7000-series-server-processors-launch/

◆EPYC概説

サーバー向けに開発されたコードネーム「Naples」(ナポリ)と呼ばれるCPUのEPYCでは、4つのZeppelinダイはそれぞれ2つの「CPU Complex」(CCX)を含み最大8コアで2chメモリをサポート。最大32コア/64スレッド、8chメモリサポートを実現します。



4つのCCXは新しいインターコネクト「Infinity Fabric」で接続され、最大42.6GB/sという高速の帯域幅を持ちます。



EPYCはサーバー向けCPUなのでデュアルソケットに対応。なお、CPUをまたぐCCX間もInfinity Fabricで接続されていますが、この帯域幅は最大37.9GB/sとなっています。



Infinity FabricによりCPUと3枚のGPUとの高速接続が可能。8chサポートでCPUあたり16枚のメモリに対応しており、デュアルCPUでは最大32枚のメモリで最大容量は4TBとなっています。



各Zeppelinダイは2つのPCI-Express(×16)リンクを作り、CPU全体では128レーンとなります。下の図の緑色がInfinity Fabric、青色がPCI-Express、紺色がSATAを示しており、×16レーンごとに8つのSATAをサポートできます。NVMeの場合、最大32基のストレージをサポート可能だとのこと。



また、EPYCには4つのUSB3.0、SMバス、I2C、SPI、eSPI、TPM、GPIO、タイマー、UARTなどを持つ「Sever Controller Hub」が含まれているため、正確にはCPUではなくSoCとなっています。



◆EPYC 7000シリーズ

2017年6月20日にAMDはEPYC 7000シリーズを発表しました。



ラインナップについては事前にリークされていた内容と同様。ハイエンドの32コア/64スレッドの「EPYC 7601」からローエンドの8コア/16スレッドの「EPYC 7251」まで、幅広い価格帯をカバーします。



注目のパフォーマンスは、以下の通り。32コア/64スレッドのハイエンドモデル「EPYC 7601」は、Intelの22コア/44スレッドの「Xeon E5-2699A V4」に比べて整数演算(SPECint_rate_base2006)性能で最大47%も上回り……



浮動小数点演算演算(SPECfp_rate_base2006)性能では75%も上回るとのこと。



STREAM Triadのメモリの帯域幅は2.5倍となっています。



発表会場に展示されたEPYC搭載サーバー。



8つのバーチャルマシンでLinuxカーネルをコンパイルするテストでIntelマシンを圧倒するデモが行われたとのこと。



さらにAMDは、すべての価格帯でライバルとなるIntel Xeon E5 V4モデルを上回る性能であることをアピールしています。



また、比較的安価なシングルCPUモデルでも、ライバルIntelを圧倒しています。



モデルによってはデュアルCPUのIntel XeonをシングルCPUのEPYCで十分置き換え可能だとAMDは述べています。



EPYCの一部モデルについて価格が明らかになっています。下記スライドからは、32コア/64スレッドの下位モデル(EPYC 7501)が3400ドル(約38万円)となる見込み。なお、最上位モデルの「EPYC 7601」は4000ドル(約45万円)前後であることも発表されており、4938ドル(約55万円)のIntel Xeon E5-2699A V4(22コア/44スレッド)の強力なライバルになりそうです。また、24コア/48スレッドの下位モデル(EPYC 7401)が1850ドル、16コア/32スレッドの下位モデル(EPYC 7281)にいたっては650ドル(約7万2000円)であることから、EPYCは圧倒的なコストパフォーマンスの高さでIntelの牙城を切り崩しそうです。



高性能&低価格なEPYCが現行のBroadwell-EP世代Xeonを圧倒する可能性が高く、次世代のサーバー向けCPUとして開発中で2017年内のリリースが予定されているSkylake-SP世代のXeonが登場するまで、Intelは苦しい戦いを強いられそうです。