実際のデータを基に作成した地球低軌道を周回する宇宙ごみの画像。物体の大きさや密集状態はこの通りではない(2011年9月1日提供、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】欧州宇宙機関(ESA)の宇宙機運用部門責任者は20日、自国内で隠し持っている宇宙ごみ(スペースデブリ)の位置情報を公開するべきだと世界各国に呼びかけた。数十万個に及ぶ宇宙ごみの「作動中の時限爆弾」が、地球軌道上の衛星や宇宙船を脅かしているという。

 ESAの運用部門を統括するロルフ・デンシング(Rolf Densing)氏は「パリ国際航空ショー(International Paris Air Show)」でAFPの取材に応じ、米国や欧州各国でも、戦略上または軍事上の機密が暴露されるという懸念などから、こうした情報の隠匿が行われていると語った。

 デンシング氏によると「現時点では、1センチ以上の大きさの宇宙ごみが軌道内に約75万個存在している」という。その多くは廃棄された人工衛星やロケット本体の爆発によって生じたものだ。この数は2030年までに約120万個に達する可能性がある。

 また「さまざまな大型の制御不能な宇宙機」もあり、宇宙空間に放置された無反応の人工衛星数千個がこれに含まれる。

 このような宇宙ごみと、有人の国際宇宙ステーション(ISS)を含む運用中の宇宙機約1500台が軌道内に混在することで、危機的な状況が生み出されている。

 地上管制チームの制御が及ばない大型の、非協調的な物体が最も危険性が高いとデンシング氏は指摘し、「これらが互いに衝突したり、他の宇宙ごみと衝突したりして、さらに細かく砕けると、これがアバランシェ(雪崩)効果を引き起こすと想像できる」と説明した。

 にもかかわらず、宇宙ごみに関する情報も同様に「散在した状態」にあり、各国の宇宙機関が保有する宇宙ごみ情報は、自国の宇宙資産が衝突の脅威に直面して初めて提供される場合が多いと、デンシング氏は述べた。

■雪だるま作用

 必要なのは、特定の宇宙ごみが軌道領域内でいつ、どこで見つかるかに関する情報に限られ、企業秘密や軍事機密を漏らす必要はないとデンシング氏は説明した。

 宇宙ごみに関する世界規模のオープンなデータベースを整備することで、専門家らが衝突警戒情報を蓄積したり、宇宙機に回避行動を取らせる時間を確保したりすることが可能になると考えられる。

「雪だるま作用」と呼ばれる、宇宙ごみ同士が衝突することで危険な破片が増え続ける現象が進行している。

 2009年にロシアと米国の二つの人工衛星が秒速約11.7キロの速度で衝突、双方が大破して地球を取り巻くデブリの「雲」が形成された。

 この「雲」によって生じたとみられる細かな粒子が昨年8月、欧州のセンティネル1(Sentinel 1)衛星に衝突して7個の「破片」を太陽電池パネルから跳ね飛ばし、さらに多くのデブリを生成した。

 デンシング氏は「この問題が十分に理解されているか疑問だ」と述べ、「世界最大級の衛星保有国は、宇宙ごみの発生に関与した規模もより大きい国と考えられ、さらに将来の衝突を回避できれば最も大きな恩恵を受けることができる国でもあると思われる」と指摘した。

 宇宙開発先進諸国は近年、すべての宇宙機を運用終了から25年以内に安全な区域に移動しなければならないと規定するガイドラインを採択した。
【翻訳編集】AFPBB News