Apple社内で行われた、未発表製品の機密情報をリーク(情報漏洩)から守るための取り組みに関する説明会の音声が流出しました。約100人が出席した社内説明会の音声を入手したニュースメディアThe Outlineが、その詳細な内容を伝えています。

FBIや米軍出身者らが勤務するセキュリティ部門

「情報漏洩を防ぎAppleの機密を守る(Stopping Leakers - Keeping Confidential at Apple)」と題された約1時間の説明会は、Appleのグローバル・セキュリティ部門の責任者らが説明者となっています。
 
グローバル・セキュリティ部門は、NSA、FBI、米軍、そしてシークレット・サービスといった、国家機密を取り扱う機関の出身者らで構成されています。
 
説明者は、グローバル・セキュリティ部門トップで、NSAや米軍で情報セキュリティ部門に勤務経験を持つデビッド・ライス氏、国際捜査部門トップのリー・フリードマン氏、グローバル・セキュリティ部門でジョニー・ハーバート氏の3人です。

サプライチェーンから盗み出される製品

Appleの未発表製品情報の漏洩は、主にサプライチェーンの工場労働者によって盗み出されることで起きてきました。平均月収が350ドル(約38,000円)程度の彼らは、月収の3倍といった報酬を提示されて犯行に及びます。
 
工場の持ち物検査をかいくぐる手口は、従業員が持ち出した部品や製品をフェンス越しに投げたり、トイレに流して浄化槽から取り出したりといったものが一般的です。
 
以前には、ブラジャーの中に隠して製品の筐体、合計8,000台分を持ち出した女性労働者もいました。
 
持ち出された製品は、写真がメディアに持ち込まれるほか、中国南部の深センなどにあるブラックマーケットで密売されます。
 
ライス氏のチームは、盗まれた製品の存在を察知すると「世界のどこかのブログに載ってしまう前に、なるべく早く買い戻す」と語っています。
 
ライス氏は、2013年に発表前のiPhone5cを19,000台分、買い戻さなくてはならなかったこと、その後さらに出荷前の製品11,000台が持ち出されていたことが判明したことを苦々しげに振り返りました。

サプライチェーンからの漏洩は激減

ティム・クック最高経営責任者(CEO)が、未発表製品の機密保持に重点的に取り組んだ効果があらわれ、サプライチェーンからの情報漏洩は減っているそうです。
 
2014年には387台あった製品の盗難は、2015年には57台(そのうち50台は発表会の夜)、2016年には4台まで減少したそうです。
 
2016年の製造台数が6500万台だったことから、盗難の発生率は1,600万台のうち1台と、業界でも前例のない水準まで低下した、とライス氏は胸を張ります。

アメリカのApple社員によるリークも問題に

最近では、サプライチェーンよりもアメリカのApple社員によるリークが問題となっています。
 
彼らは金銭や会社への不満が動機ではなく、ブログで情報を公開したり、ジャーナリストに情報を流すことで注目を集めることが目的となっているようです。
 
セキュリティチームは、Appleを監視社会にするつもりはない、と語り、Apple社員には大人として節度ある行動が求められる、と従業員の倫理が重要だと強調しています。

Appleの業績に影響も

ティム・クックCEOは、未発表製品に関する情報がAppleの収益に悪影響を与えると考えています。
 
先日は、「iPhone8」に関する情報が多いために現行モデルの販売に影響が出ている、と次世代iPhone関連の報道が過熱していることへの懸念を語っています。
 
しかしながら、先日のWWDC 17で発表された10.5インチiPad ProやSiri搭載スピーカーHomePodなどの情報は、アナリストらの情報網によって、正式発表前にかなり精度の高い情報が流れていました。

 
 
Source:The Outline
(hato)