日本国内では「爆買い」のイメージから、中国人と聞くとついつい「お金を使うのが好きな人たち」という印象を持ってしまうのではないかと思います。

 そんな中国人の消費行動について、今年、政府機関や現地メディアから詳細な調査報告が相次いで出されました。中国の若者は意外と貯蓄志向が高いなど、筆者からしても意外な調査結果が報告されています。

 今回はそれらの調査結果をもとに中国人の消費行動や傾向の現状についてご紹介しようと思います。

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可処分所得は都市、農村ともに絶賛上昇中

 中国人の支出の話をする前に、まず収入(可処分所得)のデータから紹介しましょう。

 上の図は直近7年間の中国の都市、農村別1人当たり可処分所得のグラフです。これを見て分かる通り、デフレ下の日本では考えられないペースで中国では都市、農村ともに収入が毎年上昇しています。

 こんなペースで収入が増える国で働いてみたいものだ、と思われるかもしれませんが、すでに何年も中国で働いているのにあまり収入が増えてない自分のような人間がいるという現実も、あわせてお伝えしておきましょう。

 なお、補足しておくと、中国では都市居住者と農村居住者の間で戸籍が明確に分けられています。農村居住者は移動や行政サービスなどの点で都市居住者と比べて制限があり、収入格差についても上記グラフの通りいまだ大きな開きが存在します。

 ただ、中国で暮らす筆者の感覚では、これでも以前と比べれば大分その差は縮まってきたように思われます。農村戸籍から都市戸籍への転籍制限が緩和されてきているとも言われ、確実に格差は縮小してきているようです。

日本の電車は気軽に乗れない?

 下のデータは日中それぞれの直近の支出割合に関する統計データです。

 

 

 中国と日本の一般世帯の支出割合傾向を比較する上で適切と思われるデータを筆者が選び、日本側の支出項目の用語に中国側のデータを当てはめたものです(なので、あくまで参考程度としてご覧ください)。

 両者を比較してまず言えるのは、どちらも「食費」に当たる支出項目が最も大きいことです。その割合は中国が30.1%と日本の24.7%を上回っています。

 2番目に大きい支出項目ははっきりと差が表れ、中国が「住居(21.9%)」であるのに対し、日本は「交通・通信(15.4%)」となっています。

 この点に関して補足すると、中国でも「交通・通信」の支出割合(13.7%)は決して低くはないのですが、このように順位に差が出たのは、やはり日本では交通・通信にかかる費用が高いことが原因であると思われます。

 特に日本の交通費は、中国だけでなくほかの国と比べても突出して高いと言っていいでしょう。上海市内であれば10元(約160円)もあれば市内のほぼどこでも往復することができますが、日本では都内を電車で移動して回ると1000円くらいすぐに飛び、帰国するたびに日本は気軽に移動しづらい国だと思わせられます。

若者は意外にも貯蓄志向

 続いて、よりミクロな視点で中国人の消費実態を見てみましょう。

 金融商品アプリサービスベンダーの「随手記」をはじめ複数のネットサービス会社が共同で中国の若者層(20〜35歳)の消費行動を調査しました。その調査報告書「2017年軽人消費趨勢数据報告」では、現代中国の若者の消費行動について様々な特徴が指摘されています。

 まず、現地メディアでも意外性とともに大きく取り上げられた特徴があります。それは、若者の貯蓄志向の強さでした。

 調査結果によると、中国の若者の1人当たり平均月収6726元(約10.9万円)に対し、貯蓄に回される金額はその34.8%に当たる2340元(3.8万円)にも上ります。しかもこの貯蓄額は年々ハイペースで上昇しており、前年度の調査時と比べても2016年度は15.3%増となっています。実質的に中国の若者は収入のほぼ3分の1を毎月貯蓄しているということとなります。

 この結果については現地中国でも、「若者は金遣いが荒いというイメージだが・・・」などという言葉とともに、意外性をもって受け止められています。

おしゃれにお金を使うようになってきた

 収入の約3分の1を貯蓄に回す中、残ったお金はどのように使われているのでしょうか。同じ調査報告書では、「金融商品・保険」>「住宅家賃」>「衣類・アクセサリー」の順番で消費額が大きいと記されています。

 より具体的な消費項目を見てみると、女性が化粧品や衣類の購入に使う金額は1人当たり年間平均で前年比7%増の9701.5元(約15.7万円)です。日本よりも平均的に少ない収入の中から毎月約808元(1.3万円)を使っている計算になります。

 ただ中国では、男性が女性に貢ぐ金額の大きさが日本とは比べものになりません。実際には、その金額がさらに上乗せされていることでしょう。

 中国人は以前よりも身だしなみやおしゃれにお金を使うようになってきました。ただし、化粧品や衣類への出費が高い一方、散髪代に関しては1回当たり平均47元(約760円)と控えめで、ペットの散髪(トリミング)費用の1回当たり平均69元(約1100円)を下回っています。

 日本では、ご存じのようにペットのトリミングにはけっこうなお金がかかります。中国では長らく犬を中心としたペットブームが続いていますが、やはり日本と同様にペットにお金をかけるようになってきたようです。

 ちなみに筆者が中国で散髪する際の料金は1回15元(約240円)で、もちろん犬以下です。

 参考までに、若者がカラオケ、運動、旅行などレジャーに使う金額を挙げると、以下の通りです。

住宅を購入しやすい都市はどこか

 最後に、同じ報告書に掲載されていた「中国主要都市の住宅価格に対する月収割合」を紹介しましょう。消費とはややテーマが離れますが、非常に興味深いデータです。

 上の表は、中国の各主要都市の1平方メートル当たり平均住宅価格と平均月収の割合を上から低い順に並べたものです。言い換えるならば、「どの都市ならば住宅が購入しやすいか」を順位付けしたものです。

 見て分かる通り、重慶市が最も住宅を購入しやすい都市となっています。一方、その対極にあるのが上海市や北京市です。上海市や北京市は月収が重慶市を約4割上回っていますが、住宅価格はなんと約7倍もの開きがあり、住宅の購入のしやすさはとてつもない差があることを示しています。

 筆者は現在上海市に居住しながら働いていますが、こんなデータを見せつけられてしまうと、どこかの地方都市に引っ越してセコセコ働いた方がいいんじゃないかと考えさせられてしまいます。

筆者:花園 祐