スピーディーな突破からチャンスを作り出したブラント(20)。対峙するベヒッチ(16)を圧倒した。(C)Getty Images

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 現地時間6月19日、コンフェデレーションズカップのグループステージ第1戦(B組)で、優勝候補の一角であるドイツがオーストラリアを3-2で破って幸先のいいスタートを切った。
 
 特筆に値するのが、敵のウィークポイントを徹底的に衝いたドイツの戦いぶりだ。8月31日に埼玉スタジアムで開催されるワールドカップ・アジア予選でそのオーストラリアと大一番を戦う日本にとっても、参考なる部分がとても多い試合だった。
 
 ドイツの最大の狙い目となったのが、これまで通り3-5-2を採用したオーストラリアの3バックの脇、とりわけ左ウイングバックで先発したアジズ・ベヒッチの裏のスペースだ。開始5分に挙げた先制点も、このスペースを利用して生まれた。レオン・ゴレツカのパスを受けた右ウイングバックのユリアン・ブラントが快足を飛ばして右サイドを駆け上がって折り返し、ラース・シュティンドルが落ち着いてネットを揺らした。
 
 この場面では、CFサンドロ・ヴァーグナーの動きにつられて、オーストラリアの3バックがずるずると下がったため、シュティンドルは完全にフリーになっていた。
 
 その10分後には、今度はゴレツカがこの右サイドのスペースに走り出し、ヨシュア・キミッヒのパスを受けてクロス。ヴァーグナーのヘッドは惜しくも外れたものの、再び決定機を作り出した。
 
 その後も、ブラントやユリアン・ドラクスラーがベヒッチの裏のスペースを使って面白いようにチャンスを演出。その数は前半だけでも6回に上った。
 
 オーストラリアは、左ウイングバックのレギュラーであるブラッド・スミスが大会前の故障で不在だったというエクスキューズがあるとはいえ、ベヒッチの守備力と左CBベイリー・ライトのカバーリング能力の低さは、小さくない穴となっていた。
 
 日本がこの弱点を衝くのであれば、右ウイングは先のイラク戦でスタメンを張った本田圭佑よりも、久保裕也(イラク戦は左ウイングで先発)のほうがベターだろう。ドリブル突破や敵の背後への飛び出しなど、個での打開が期待できるからだ。
 ドイツが効果的に活用したもうひとつの攻撃パターンが、「2列目からの飛び出し」だ。同点に追い付かれた直後の42分に、PKを獲得したのもこの形だった。ゴレツカがシュティンドルとのワンツーで抜け出し、後手を踏んだマッシモ・ルオンゴのファウルを誘ったのだ。
 
 このPKをドラクスラーが冷静に決め、1点をリードして前半を折り返すと、後半開始早々にもゴレツカが果敢な飛び出しを見せる。ヨシュア・キミッヒの絶妙なパスをダイレクトで叩き込み、貴重な追加点を奪った。
 
 マイル・ジェディナクというフィルター役を故障で欠くオーストラリアに対し、ゴレツカとドラクスラーという2列目が自由に動き回ってパスを引き出し、バイタルエリアではシュティンドルがストレスなくボールを収めてフィニッシュに結び付けた。
 
 日本でその役割を担えるのは、左肩の脱臼でイラク戦を欠場した香川真司だ。2列目からの飛び出しやバイタルエリアでボールを受けてからの崩しといった持ち味を発揮できれば、ゴレツカやシュティンドルのようにオーストラリアの守備陣を混乱に陥れるのも可能はなずだ。
 ドイツが見せた守備面での対策が、前線からのプレスだった。
 
 後方からパスを繋いでビルドアップを試みるオーストラリアに対して、立ち上がりから3バックやフィードが不安定なGKマシュー・ライアンにプレッシャーを掛けてミスを誘い、とくに最初の30分はペースをほとんど握らせなかった。28分には、トレント・セインズベリーのパスをカットして繰り出したシュートカウンターで、あわやというチャンスを作り出している。
 
 逆に、プレスが緩くなった後半には、セインズベリーの正確なフィードから主砲トミ・ユリッチがシュートに持ち込まれるなど、ピンチが少なくなかった。
 
 つまり日本も、オーストラリアのDFラインから自由にパスを出させない工夫が不可欠だ。37度の猛暑で行なわれたイラク戦では、8分に先制したこともあり、重心を下げてリトリートした状態での守備に徹したが、8月の決戦では、相手に主導権を渡さないためにも、前線からのプレスが必要となるだろう。
 
 もっとも、イラクほどの暑さではないにせよ、真夏のゲームで90分間プレスを掛け続けるのは難しい。前線からのプレスとリトリートの使い分け。これが勝負を分けるポイントになるかもしれない。
 
文:ワールドサッカーダイジェスト編集部