中央政治局常務委員、中紀委書記・王岐山氏(GettyImages)

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 今年4月から、逃米中の江沢民派の実業家・郭文貴から攻撃され続けている共産党中央政治局常務委員・王岐山(序列7位中6位)氏だが、全く相手にしていない模様。習近平国家主席の片腕とされる王岐山氏は5月13日、訪中したラオス国家主席との会談でメディアの前に姿を現した以外、公の場に姿を見せない。過去の事例から、反腐敗運動をすすめる同氏が、ターゲットとしている大物腐敗官僚「大トラ」を失脚させる前兆か。それとも秋に開催される19大と何らかの関係があるのか。さまざまな見方が錯綜している。

大トラを狩りに行った? 姿を消した反腐敗キャンペーンの立役者

 一部の海外メディアの分析によると、王岐山氏が「姿を消す」と、その後必ず腐敗官僚「大トラ」が失脚するというパターンがあるようだ。例えば、2014年5月から1カ月近く公の場に姿を見せなかった王岐山氏が、再び現れてから1カ月未満の間に、それぞれ江沢民派の重鎮で副大臣級の徐才厚と大臣級の周永康が立て続けて失脚した。また、2015年7月に王岐山が3週間ぶりにメディアの前に現れたが、その日に、同じく江沢民派で副大臣級の郭伯雄が党から除籍され司法に移送された。

 そのため、今回はまた重量級の「大トラ」が失脚される兆しではないかという見方もある。

 しかし、今の政治背景は、米国に渡り共産党内のスキャンダルを暴露し続ける実業家・郭文貴が、王岐山氏の家族に関する情報を暴露し、攻撃しているため、かなり複雑になっている。今秋開催される19大では、常務委員入りが有力視されてきた王岐山の進退が、注目されている。慣例を破ることなど意に介さない習主席にとっては、常委の年齢制限や不文律といったものは柔軟になりそうだが、王の留任が実現するかどうかは、習主席が王の留任を望み、王にもその意思があるかどうかにかかっているとみられる。

反腐敗を指揮 王岐山氏は党ナンバー2とも目される人物

 習国家主席が2012年の党18大で党総書記に就任すると同時に、王岐山氏が中紀委書記の座に就いた。その後、反腐敗運動を指揮して腐敗官僚を次々と失脚させたことで、習主席が党内で「核心」の地位を確立することができたのは確かだ。その過程で王岐山氏は実質的な党のナンバー2と認められてもおかしくないほどの実績を挙げており、かつての部下たちまでも次々と重要ポストに抜擢されている。

夕暮れ時の北京天安門広場(Getty Images)
 

 例えば、王岐山氏の補佐を務めていた張軍・中紀委副書記は、今年2月に司法部部長(日本の法相にあたる)に任命され、同じく中紀委副書記として2年間、王岐山氏の補佐を務めていた楊暁渡氏は昨年12月に監察部部長(各省の監察や不正公務員の調査、起訴を行う監察機関のトップ)に抜擢されたうえ、今年1月には国家腐敗防止局局長も兼任するようになった。

 また、中紀委前副秘書長で、03年に王岐山氏が北京市委副書記と市長代理を勤めていた時の部下でもあった崔鵬氏は、今年1月に監察部副部長に昇進している。その他にも数多くの部下たちが、地方の省レベルの中国共産党委に任命され、全国各地に散らばっていった。

専門家「有能な王岐山、控えめなのは『核心』習近平のイメージを保つためか」 

 かつての部下たちが次々に昇進していくなか、王岐山氏自身が控えめな姿勢を崩さないのは、独自の処世の哲学を持っているとの見方がある。

 北京時勢の評論家、華頗氏は大紀元グループのラジオ放送・希望の声から取材に応え、「王岐山は今のポストに就いてからも、自分が難しい立場にあることを十分承知している。腐敗撲滅運動を推進したことで大勢の官僚からは恨みを買うし、政治手腕を発揮すればするほど嫉妬され、あらぬ疑いを掛けられやすくもなる」と分析した。

「王が常に目立たないよう心掛け、数々の大仕事をこなしても常に控えめな姿勢を崩さないのは、自分の功績が習近平のイメージに影を落とさないように用心しているからではないか」。

(翻訳編集・島津彰浩)