新型ロケットのイメージ(写真:東レ社発表資料より)

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 東レは19日、イタリアのAVIO SpA(以下アヴィオ社)と打ち上げロケット用途に使用する炭素繊維トレカについて、最長2027年まで供給する長期契約を締結したと発表した。東レはこれまでも高強度炭素繊維を供給してきたが、今回の契約ではアヴィオ社が新たに開発に参画するアリアン6ロケットやヴェガCロケット等の次世代ロケットのモータース向けにも供給を拡大する。次世代の東レを象徴する事業として順調に拡大していると言えそうだ。

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 アヴィオ社はイタリアの航空宇宙関連企業。アリアンスペース社が打ち上げ・運用する小型ヴェガロケットや大型アリアン5ロケットの主要部品の製造を担当している。東レによると打ち上げ用ロケットの需要は年々拡大しているという。放送・通信、測位(GPS)、地球観測、防災など人工衛星の活用用途は多岐に渡る。コスト削減や高性能化の観点から炭素繊維のような複合材の採用拡大が見込まれている。

 炭素繊維とは90%以上炭素を含んだ繊維で、軽量ながら強度と弾性率に優れた素材だ。金属材料に変わる軽量化材料として利用が進んでいる。東レはPAN系と呼ばれる炭素繊維のメーカーの中でも業界をリードしており、航空機や自動車などのほか、スポーツ用品・建築材料・モバイル機器などにも用いられている。炭素繊維の利用によって、二酸化炭素の排出削減にも大きな効果を発揮し、環境規制が進む中でも注目の素材と言える。

 東レは、中期経営課題「プロジェクト AP-G 2019」において、炭素繊維複合材料事業を中長期に渡って収益拡大を牽引する「戦略的拡大事業」と位置付けている。2017年3月期の連結売上高の中で、同事業が占める割合は8%程度と、基幹事業となる繊維部門の42%にはまだまだ及ばない。年間10%ペースで成長する業界の中で、業界トップ企業として一層の拡大を図る方針だ。