25年間でBMIの高さが関与した死亡者数は28.9%増加した

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現代の「万病のもと」の一つとされ、毎年400万人もの命を奪っている「肥満」の増加が止まず健康の危機が深まっている―。米国の医学専門誌で、こうした内容の調査結果が報告された。

研究者らは、世界規模での食の環境改善を提唱。肥満の主要原因の一つ、いわゆるジャンクフードを規制するための課税や補助金の導入、広告規制、学校給食の見直しなどが手段として考えられるという。

米医学誌に調査報告

調査を行ったのは米ワシントン大学に付属する保健指標評価研究所(IHME)のチーム。2017年6月12日付で、同国の医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」にその結果を報告する論文を発表した。

それによると、体格指数(BMI)が健康レベルを有意に超える「肥満」の人たちの数は世界で2015年、成人が6億370万人、子ども1億770万人。人口比でそれぞれ、12%、5%を占める。世界の大人10人に1人以上の割合で「肥満」ということになる。

報告によると2015年にBMIの高さが関与して死亡した人は400万人にのぼり、これは死者数全体の7.1%を占める。IHMEのディレクター、クリストファー・マレー博士は「体重増を気にしない人はそれに伴うリスクも気にしていない。心血管系疾患、糖尿病、がん、また、ほかの命を危うくするリスクであるにもかかわらず」と述べている。

スリムなのはベトナム、バングラデシュ

肥満度が最も高いのは米国で国民の3分の2が肥満か体重過多。体脂肪を多く抱えることにより、心臓病、糖尿病、がんなどのほか、関節炎やアルツハイマー病のリスクが高まっており、インフルエンザや感染症が重症化したり死に至る可能性も高い。

2015年に成人の肥満者が最も多かったのはエジプト。全成人の35%がBMI30以上だった。健康的とされるのは22〜25。同年の子どもの肥満は米国が最も深刻で、その割合は13%だった。一方、肥満度が低いのは、成人ではベトナム(1.6%)、子どもではバングラデシュ(1.2%)だった。

あふれるカロリー過多食品が問題

研究報告によると、1990年〜2015年の間に、肥満の増加に比例して、BMIの高さが関与した死亡者数は28.9%増加した。高BMI関与の死亡の70%は心血管系疾患。また心血管系死者の6割は肥満者だ。

調査によると、健康を損ねるリスクが高い肥満を導くのは運動不足ではなく食品であることを示す証拠が積み上げられたという。「食をめぐる環境や状況の変化が肥満者の増加を加速させているアクセルとみられる」

研究者らは、カロリー過多の食品が、販売手法の進化で いたるところで安価に入手できるようになり、地域に関係なく肥満があらゆるところで深刻化しているとみる。だが、対策の見当がつかず、各国はそれぞれ異なったアプローチをとっているため効果があがっていないのが現状と指摘する。

報告は、健康によくない食品の子ども向け広告の規制、学校給食の改善のほか、食品に対して健康への影響に応じて課税することなどを提案。また、健康に資する食品摂取を促すための補助金や、食品会社に健康的な食品の生産を検討させるためのサプライチェーンを通じた奨励金の導入を推奨している。