ワームビア氏(イメージ)=(聯合ニュース)

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【ソウル聯合ニュース】北朝鮮に約1年半拘束され、昏睡(こんすい)状態で解放された米国人大学生オットー・ワームビア氏の死去は、米朝関係の悪化だけでなく韓国の文在寅(ムン・ジェイン)新政権の北朝鮮政策にも影響を及ぼす可能性がある。

 韓国政府もワームビア氏の死去が与える影響を注視しており、日本時間の20日早朝に一報が入った後、外交部は朝鮮半島平和交渉本部を中心に公式の立場発表を慎重に検討中であると伝えられた。
 外交部の関係者は「北朝鮮が人権じゅうりん国だという米国民と米国政府の認識がさらに強まるだろう」とし、「米朝関係に否定的な影響が出る」と予想した。
 韓国政府は、ワームビア氏が北朝鮮でどのようにして昏睡状態に陥り、解放から6日で息を引き取ったのかについて詳細な経緯が明らかになるか注目している。遺族らが主張するように拷問や虐待によって死に至ったとすれば、米国、韓国をはじめ国際社会の北朝鮮に対する世論はさらに悪化し、北朝鮮への圧力が強まる公算が大きいためだ。
 外交・安保当局は、今回の事案が文在寅政権の北朝鮮政策の推進に影響を与える可能性に注目している。
 ワームビア氏が13日に昏睡状態で解放された当時、当局者の間では「最悪の事態は避けられたと見なければならない」との見解があった一方、ワームビア氏の容体が悪化すれば米朝関係に相当な悪材料になるかもしれないとの見方もあった。
 当局者らは、ワームビア氏が亡くなったことで米国内の対北朝鮮世論の悪化、米朝関係の悪化へと状況が展開すれば、北朝鮮核問題の交渉で突破口を見つけるのがさらに困難になると懸念している。

 また、今回の事案は29〜30日に米ワシントンで開かれる韓米首脳会談で、両国大統領間の北朝鮮関連の議論に重要な影響を及ぼすものとみられる。
 米国内で北朝鮮に反発する世論が高まることを踏まえると、トランプ米大統領は対北朝鮮融和のメッセージよりも、現在行われている対北朝鮮制裁・圧力を強化すべきだとの点を強調する可能性がある。その場合、対話と制裁の並行と北朝鮮核問題の包括的かつ段階的な解決を強調する文大統領の対北朝鮮政策に対して、トランプ大統領の共感を引き出すのは簡単ではないとの見方が出ている。
 文政権とトランプ政権が対北朝鮮政策の最初のボタンをかける首脳会談で発する北朝鮮へのメッセージが制裁・圧力に傾く場合、対話と交渉が占める割合は少なくならざるを得ない。
 ワームビア氏の死去は、南北関係の改善を目指す文政権の試みにも打撃を与える見通しだ。
 米朝関係がさらにこじれれば南北間の対話の実現にも影響を与え、北朝鮮政権の残忍性が再び明るみに出たことで韓国の対北朝鮮世論も悪化すると考えられるためだ。
 統一部の当局者は「この問題が米朝関係はもちろん南北関係にも影響を与える可能性があることから、政府としても敏感にならざるを得ない」と話す。
 北朝鮮に拘束されている韓国の国民6人の安全に対する懸念も高まりそうだ。
 北朝鮮は2013年10月に韓国人宣教師のキム・ジョンウク氏を逮捕した後、国家転覆陰謀罪で無期懲役を言い渡すなど6人を拘束しており、韓国政府は彼らが現在どのような状態か把握するのが難しいとされる。
 また、韓国政府は今後の米朝の動向に注目している。米朝対話が遠ざかったとの判断を踏まえて北朝鮮が核・ミサイルでの挑発に乗り出す場合、朝鮮半島情勢は急速に冷え込むと予想されるが、北朝鮮に拘束された米国人3人の解放を巡る米朝間の議論が結果を生む場合、逆に交渉が早まる可能性も排除できない。
 ワームビア氏の解放交渉のために米国のジョセフ・ユン国務省北朝鮮担当特別代表と北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務省米州局長など、当局者間の対話チャンネルが再稼働したことから、ワームビア氏の死去という悪材料の中でも米朝間の接触は続くとみられる。
ynhrm@yna.co.kr