「まだ四分咲き。風間グランパスのここまでを振り返る」

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屈辱のJ2降格から半年。名古屋グランパスは今、大きな挑戦の最中にいる。

新監督に風間八宏氏を迎えた今シーズン。スカッドの大半が入れ替わり、志向するスタイルも大きく変わった。監督交代により、どのような変化が起きているのか。今回のコラムでは、風間グランパスのここまでを振り返る。

徐々に固まりだした“基本形”

上図が今季の基本システムだ。

最後尾を守るのは楢崎正剛。センターバックは櫛引一紀を柱に小林裕紀、酒井隆介、磯村亮太、シャルレスが起用されている。サイドバックは右に宮原和也、左は青木亮太と内田健太が争う。

ボランチは田口泰士とワシントン。右サイドハーフは玉田圭司がファーストチョイスで、左は和泉竜司。

2トップはシモビッチが軸で、杉森考起、フェリペ・ガルシア、佐藤寿人が相棒役を担う。

開幕から3バックをメインとしてきた風間監督だが、第15節の愛媛FC戦からオーソドックスな4-4-2を採用しており、どうやら基本形となりそうだ。今季からコンバートされた選手も多く存在しており、この点については後述したい。

コンセプトを体現するキーマンたち

3バックであろうと、4バックであろうと風間監督のコンセプトは不変である。「ボールを握ることで試合を支配する」という明確なコンセプトで、ペップ・グアルディオラと同じ哲学だ。

そして自身の哲学を体現するには、当然ながらビジョンを同じくするプレーヤーの存在が不可欠だ。

攻撃の絶対軸となっている玉田は、プレーメーカーとして巧みなパスセンスでリズムをもたらす。かつては名ドリブラーとして鳴らし、晩年にポジションを下げたライアン・ギグスを彷彿とさせる活躍ぶりだ。

また、指揮官の大胆なコンバートによって新境地を開拓した選手たちは多い。

トップ下を本職とする和泉は、ボランチに加えてウイングバックやサイドバックとしても起用された。豊富な運動量とサッカーIQの高さで“風間スタイルの申し子”となっている。

また、宮原と内田も“風間スタイルの申し子”だ。

両者ともに3バックのストッパー、サイドバック、ウイングバック、ボランチと複数のポジションで起用されている。2人ともキック精度と戦術理解度の高さが売りで、風間監督が重宝するのは当然だ。前者はヨシュア・キミッヒ、後者はアレクサンダル・コラロフを彷彿とさせるが、ペップと同じ哲学を持つ指揮官だけに、このコンバートも納得である。

そして、筑波大学時代に指揮官の薫陶を受けた八反田康平もキーマンのひとりだ。

中盤ならどこでもこなす背番号21は、ボールを受けてさばくのが持ち味。潤滑油的にプレーできるコケ的タイプである。風間監督は川崎フロンターレ時代に同タイプの森谷賢太郎を重用していたが、八反田も同様に寵愛を受けそうだ。

「ブレずに」戦い続けた先に

19試合を終了し、9勝4分け6敗の8位。混戦のJ2とはいえ、1年でのJ1復帰を最大ミッションとするクラブにとって、今の順位は受け入れられるモノではない。

特にリーグワースト6位の28失点を喫している守備が課題で、クリーンシートはわずか2試合だけ。得点はリーグトップだけに、守備の整備がきちんとできれば、安定した成績を残すことができるはずだ。

だが、風間監督に哲学を曲げるという考えはゼロだ。

直近のゲームで攻撃的MFの青木を左サイドバック、ボランチの小林をセンターバックへコンバートした采配からもそれはうかがえる。言わずもがな守備の微調整ではなく、ビルドアップの更なる向上を目的とした策である。相手より多く点を取れれば、勝ち続けることができる。「攻撃は最大の防御」というやつだ。

3連敗と厳しい状況に置かれる風間グランパス。しかし指揮官はこの状況を意に介していない。

「いろいろな意味でまだまだ技術を上げていかなければダメ」、「それをしっかりとやっていけば自分たちのペースで試合を進められる」という試合後のコメントは、目先の勝利ではなく、長い目でチーム作りを考えている証拠だ。

開幕当初から比べればパスワークのリズムも良くなっているものの、川崎時代のそれと比べれば完成度は4割程度といったところか。試行錯誤の末ようやく基本システム及び軸となる選手が固まってきた印象を受けるだけに、「ブレずに」戦うことが完成への近道だ。

「ローマは一日にしてならず」という有名なことわざがあるが、パスサッカーもローマ同様である。「ブレずに」戦い続けた先に昇格という2文字、そしてボールを握ることで試合を支配するという究極の理想を手にできると信じ、風間監督は今日も指揮を執る。

2017/06/18 written by ロッシ

筆者名:ロッシ

プロフィール: 1992年生まれ。1998年フランスW杯がきっかけでサッカーの虜となる。筆者の性格は堅実で真面目なため、ハビエル・サネッティ、長谷部誠、ダニエレ・ボネーラ、アルバロ・アルベロア、マッティア・カッサーニにシンパシーを感じている。ご意見・ご感想などありましたら、ツイッターアカウントまでお寄せください。

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