TWILIGHT EXPRESS 瑞風(東芝の発表資料より)

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 東芝は、JR西日本が6月17日から運航を開始した高級寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風(みずかぜ)」(以下、瑞風)に小型ハイブリッド駆動システムを納入した。1編成10両向けの駆動システムで、コンパクトなスペースに取り付ける必要があったため、東芝とJR西日本が共同で開発した。

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 寝台列車は、床下にシャワー用の水を貯留しておくタンクなどの機器を取り付ける必要があり、そのため駆動システムは限られたスペースに取り付けなければならなかった。そこで東芝は、JR西日本と共同で開発を進める中、モーターとバッテリーを制御する主変換装置を鉄道向けの半導体でなく、自動車などに使われるパワー半導体を利用することにした。また、空冷方式では欠かせない冷却フィンも、水冷方式を採用することで不要になり、小型・軽量化に成功、車体の屋根の上への設置も実現した。これらの機器を搭載しても、瑞風の高級感あふれるエレガントな車体デザインには何ら影響しなかったという。

 さらに、バッテリーには、東芝製のリチウムイオン二次電池「SCiB」を搭載。ブレーキをかけた時に発生する回生電力を加速時に利用しているため、燃費の向上と環境への配慮も実現した。モーターは全閉構造のため、低騒音、内部清掃の手間もかからず、メンテナンスしやすいつくりになっている。

 東芝では、今後も電車の車輌など、鉄道で使われる機器の開発に取り組み、安全性や利便性の向上と個々の鉄道のコンセプトにマッチする製品の提供を目指す。

 最近は、美しい車窓の景色を眺めながら、コース料理など趣向が凝らされた食事を堪能できる観光列車の人気が急上昇している。瑞風もそのひとつで、「美しい日本をホテルが走る。〜上質さの中に懐かしさを〜」というコンセプトで作られた。車内では、大阪でも指折りのレストラン「HAJIME」のオーナーシェフ米田肇氏や京料理を代表する「菊乃井」の主人、村田吉弘氏など、一流の料理人が監修した料理を味わえる。

 ただ走って客や物を運ぶだけの列車から、ゆったりと景色や食事を楽しめる観光列車へとニーズが多様化していく中、バッテリーやモーターなど、列車の安全で快適な運行を支える裏方の部分に求められるものも変化しつつある。