<米マサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学医学大学院の共同研究プロジェクトは、最新のバイオテクノロジーとタトゥーの技法を融合した"究極のウェアラブル"の概念実証に成功した。>

健康・ダイエット志向の高まりや、医療用デバイスの技術進化、スマートフォンの普及などを背景に、近年、ヘルスケアやフィットネスの分野において、ウェアラブル端末が注目を集めている。

リストバンドやアクセサリーのような形状の端末を身につけるだけで、心拍数や歩数、血圧、消費カロリーなどを自動的に記録し、健康状態を定量的に把握できるのが利点で、その市場規模は、世界全体で、2016年時点の53.1億ドル(約5,895億円)から年平均18.0%のペースで成長し、2021年までに121.4億ドル(約1兆3,475億円)に達すると見込まれている(市場調査会社『マーケッツ・アンド・マーケッツ』による)。

間質液の変動によって色が変わる

米マサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学医学大学院の共同研究プロジェクト『ダーマル・アビス(DermalAbyss)』では、最新のバイオテクノロジーとタトゥーの技法を融合した"究極のウェアラブル"の概念実証に成功した。

血管と細胞との空間を満たす間質液の変動によって色が変わるバイオセンサーをタトゥーインクの代わりにし、その色の変化を健康状態のバロメーターとする仕組み。紫色からピンクに変化するpH値センサーや、青から茶に変わる血糖値センサー、蛍光の強度が変化するナトリウム値センサーなど、これまでに4種類のバイオセンサーについて研究されている。

DermalAbyss: Possibilities of Biosensors as a Tattooed Interface from Fluid Interfaces

体内の代謝をタトゥーの色で表わす『ダーマル・アビス』の仕組みは、医療分野において大いなる可能性を秘めている。

タトゥーの色で血糖値レベルがわかる

たとえば、従来、糖尿病患者は、血糖値を測定する際、皮膚に針を刺して採血する必要があったが、タトゥーの色をみるだけで血糖値レベルがわかり、インスリン投与が必要なタイミングを判断することが可能となる。同様に、ナトリウム値の変動が蛍光の強度の変化で示されることで脱水症を早期に発見したり、紫色からピンクまでの色の変化で体内のpH値の変動を可視化し、全般的な健康状態が把握できるようになるわけだ。

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『ダーマル・アビス』では、現時点において、製品化に向けた開発や臨床実験をすすめる計画はないとのことだが、このタトゥー型バイオセンサーのような研究開発が増えるにつれて、現在の"身につけられる(ウェアラブル)"から"体内に埋め込める"へと、デバイスがさらに進化していきそうだ。

松岡由希子