米フロリダ州ノース・マイアミのホールフーズ・マーケットの店舗(2013年5月撮影)。 Photo by , under CC BY 2.0.


 この週末、米アマゾン・ドットコムが米高級スーパーマーケットチェーンのホールフーズ・マーケットを買収するというニュースが世界を駆け巡った(アマゾンの発表資料)。

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アマゾン史上、最大の買収

 驚いたのは、約140億ドルという買収金額だ。アマゾンはこれまで、ゲームプレイのネット実況を手がけるトゥイッチ・インタラクティブや、アパレルの電子商取引企業ザッポス、倉庫内のロボット配送システムを手がけるキバ・システムズなどを買収しているが、それらの買収金額はいずれも10億ドル未満。今回の買収金額はそれをはるかに上回り、アマゾンの歴史の中で最大規模となる。

 ホールフーズは、米国やカナダ、英国に約460店舗を持ち、売上規模で全米10位のスーパーだ。規模では中堅だが、自然食品などの商品を扱い、ライフスタイル提案型の高級志向店舗を展開し、顧客には高所得者層が多い。

 アマゾンによると、この買収取引には今後、ホールフーズ株主の決議や、当局の承認といったプロセスが必要になるが、今年(2017年)後半には、手続きがすべて完了すると見通し。そしてホールフーズは、その後も、現在の最高経営責任者(CEO)が経営のかじを取り、ブランドも維持されるという。

 一方、アマゾンは、2007年から、生鮮食品の会員制ネット販売「AmazonFresh」を展開しているほか、先ごろは「AmazonFresh Pickup」と呼ぶ食料品の店頭受け取りサービスを始めた。

 だが、同社の食料品売上高は現在87億ドル程度で、8000億ドル規模と言われる米国食料品市場の約1%にとどまっている。

 こうした中、アマゾンは食料品事業を長期的な成長戦略と見据え、この分野に力を入れている。

(参考・関連記事)「アマゾンがまたもや新業態店舗」

全米第5位の食料品小売企業に

 米投資会社コーエン・アンド・カンパニーによると、アマゾンとホールフーズを合わせた市場シェアは約2.8%で、ウォルマート、クローガー、コストコ、アルバートソンズ/セイフウェイに続く、第5位の食料品小売企業となる。

 こうした状況について、米ウォールストリート・ジャーナルは、アマゾンはホールフーズの買収により、一夜にして、食料品業界の巨人になると伝えている。

 これは同時に、ネット販売からスタートした同社が、実店舗ビジネス界のメジャープレーヤーになることも意味しており、業界にとって脅威だという。

460の店舗をネット小売事業に利用

 この買収により、アマゾンは、これまでの悩みを一気に解決できるのかもしれない。というのも、食料品のネット販売は、食料品市場全体のわずか4%にとどまっており、書籍や家電製品のようにネットへの移行が進んでいないからだ。

 アマゾンは今後も、ホールフーズを独立事業とし運営する方針だ。だが、460ある店舗を、アマゾンの店頭受け取りサービスや配送ネットワークの展開の拠点として利用するのではないかと、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

筆者:小久保 重信