眠気覚ましに口臭予防、リフレッシュとさまざまな効果のある「チューインガム」ですが近年、かつて主流であった板状のガムを見かける機会は減少しており、それに代わって粒状のものの存在感が増しているように見受けられます。

 その背景には何があるのでしょうか。日本チューインガム協会の滝口俊男専務理事に取材しました。

「ガムの種類は多数ある」

 滝口さんによると、チューインガムの原材料は南米に生息する樹木「サポディラ(和名:チューインガムノキ)」の樹液を煮て作った「チクル」という天然樹脂。これを熱で溶かし、ほかに硬さや弾力性を出すための原料を加えたものが「ガムベース(ガムをかみ終えた状態)」です。このガムベースに風味をつけるための香料や甘味料を練り込み、固めて成形したものが商品となります。

「チューインガムは商品の特性上、形や味を自由に決めることができるため、その種類は多数です。また近年は砂糖を配合しない商品も増えており、砂糖やブドウ糖を中心とした『シュガータイプ』とキシリトールなどを使用した『シュガーレスタイプ』があります」(滝口さん)

 チューインガムの中で、板状のブロックタイプやスティックタイプのものは「板ガム」、糖類で表面をコーティングしたものは「糖衣ガム」と呼ばれ、この糖衣ガムには粒状の「粒ガム」や球状をしたガムが含まれます。現在のチューインガム市場では、この粒ガムが存在感を増しています。

キシリトール」登場でニーズに変化

 確かに、近年はスーパーやコンビニエンスストアなどでも、板ガムより粒ガムを見かける機会が増えました。その理由は何でしょうか。

 滝口さんによると、1997年に虫歯の原因とならない甘味料「キシリトール」を配合したガムが登場して以降、粒ガムが急速にシェアを伸ばしました。「キシリトール配合のガムが市場に登場した時、ほとんどの製品は粒ガムでした。つまり、キシリトール登場によって粒ガムが一気に拡大したといえます」。

 粒ガムは1990年代に入って、カリッとした表面の斬新さやヘルシーなイメージによって世間に定着しました。「食べる時に口を大きく開けずに済む」という女性ニーズを捉えたことや、ガム同士がくっつかない利点を生かしたボトルガムの登場も粒ガム台頭の要因となったそうです。

 とはいえ、粒ガムの主流化によって板ガムの魅力が色あせたわけではありません。「1個当たりの重量では、大半の板ガムは粒ガムよりも大きいため、ガムのかみ心地を楽しむのに向いています。また、粒ガムのカリッとした食感を好まない人は板ガムを選択する傾向にあります」。

(オトナンサー編集部)