SNSに複数の肩書を連ねる女たちがいる。

サロネーゼ / ライフスタイルプロデューサー / パーソナルスタイリスト / PR...。

会社には属さず、自らの力で生きる“フリーランス”の道を選んだ女たち。

彼女たちは本当のところ、どんな仕事をして、どれほどの収入を得て、どのような生活を送っているのだろうか。

一見、好きなことしかしていないような彼女たちの、その実態に迫ってみよう。




<今週のフリーランスの女性>

名前:麻衣子(30歳)
前職種:IT企業
現職:サロネーゼ
年商:約200万
住居:自由が丘
結婚:既婚


レッスンを開催すればする程、赤字になるサロネーゼ


麻衣子さんは元々IT系の企業に勤めており、 “ありきたり”なOLの一人だった。

しかし3年前の結婚を機に退社。そして自宅でお稽古事を開催する、所謂“サロネーゼ”となり、自由が丘のご自宅で優雅にお教室を開いている。

待ち合わせ場所に現れた麻衣子さんは肩下くらいまで伸びた綺麗な栗色の髪が印象的な、“ゆるふわ系”の可愛らしい女性だった。

内側に綺麗に巻かれた髪に、シンプルなピンクベージュのフレンチネイル。リボン付きのヴェレンティノの薄ピンク色のカバンが、サロネーゼ感を更に増している。

「一見、好きなことをして優雅に見えますよね?でもサロネーゼは、儲けたいと思う人には勧められません。だって、レッスンを開催すればする程、赤字になりますから。」

カモミールティーを飲みながらニッコリ微笑む麻衣子さん。

彼女から、生活の焦りなどは感じられない。しかし話を聞けば聞くほど、サロネーゼの悲しい見栄が生む、厳しい財政状況が明らかになった。


意外な出費がサロネーゼの首を絞める


お茶代にケーキ代、プレゼント代までも。出費が多すぎるサロネーゼ

<5月の支出内訳>


家賃や光熱費、家の食費は旦那様が持ってくれるため、麻衣子さんの負担額はゼロだ。しかし単純計算すると、月々の出費は約25万円。年商に対し、支出のほうが多い計算となる。

また、“その他雑費”という項目の5万円も気になる。

「生徒さんが来たら、必ずお菓子とケーキを出さなければならなくて、それを雑費にしています。食費というのは、サロネーゼ同士の1回1万円ほどするホテルランチ交流会や友人とのランチ代です。情報交換のため、それらは外せません。」


お茶の銘柄でジャッジされる、サロンのレベル


お茶やケーキを出さなくても良いのでは?と思う方もいらっしゃるだろう。

しかし麻衣子さんはこう続ける。

「お茶とケーキをレッスンの後に出すのはサロネーゼの間で暗黙のルール。もし出さなければ教室の評判は悪くなり、SNSで何を書かれるか分かりませんから。」

もちろん、ケーキは有名店のケーキ以外は論外であり、有名店か、もしくは“SNS上で自慢できるような”話題性が必要である。

紅茶もその辺りで売っているような安物では済まされない。

「ピエール・エルメ・パリやキルフェボン辺りが定番ですね。紅茶はマリアージュ・フレールやTWGなど。」

ケーキ1個あたり800円強。マリアージュ・フレールの紅茶は50gで1,500円くらいする。毎回開催する度に、これらの出費が嵩む。

さらにサロネーゼの出費はこれだけでは収まらない 。

「生徒さんの中にお誕生日の人がいれば、お誕生日プレゼントを渡さなければいけないんです。また、8回通ってくれたら3万円相当の刷毛(ポーセラーツに使う道具)をプレゼントする慣例もあるんですよ。」

それらに加え、“こだわり”のサロンオリジナル・リボン制作費や作品を入れる箱などの経費もかかる。

「サロネーゼの講師は、いかに憧れを持ってもらえるかも大事な要素。常に綺麗にしておく必要があるためネイルは欠かせないし、洋服もレッスンがある度に新調します。」

体験レッスンなどは材料費込みで3,000円が相場のため、赤字は更に膨らむ。

結果として、レッスンを開催すればするほど赤字なのだ。


それでもなりたいサロネーゼ。普通のOLに嫌気がさした女の決意


OLから、夢のサロネーゼへ大変身


そんな麻衣子さんだが、夢と希望を持ってサロネーゼになった。

新卒で弁護士秘書を務めた後、IT系の企業に転職。弁護士秘書の年収はボーナス込みで約400万円、IT系の企業は年収約550万円だった。

「IT系企業の方ではベンチャーだったこともあり、やりがいもありました。でもその分激務で、帰宅は毎晩深夜という日々。」

体力的に限界を感じていた時に、今のご主人と出会い、結婚を意識し始めた。

「結婚して、この生活が続けられるのかと自分に問いかけた時、答えはNOでした。言い方が悪いかもしれませんが、結婚すれば生活の心配は無くなる。だから、好きなことをして生きようと思ったんです。」

何をしようかと迷った挙句、結婚前から趣味で通っていたポーセラーツのサロンを開催することを思いつく。自宅で開催すれば場所代はかからず、サロネーゼは響きも良い。

何よりも、やりがいを持って、自分の好きなことでお金を稼げるなんて最高だと思った。

この時、講師の認定書を貰うために教室に通っていた麻衣子さん。

授業料は約50万。そして自宅で作品を焼く窯を購入する必要があり、約40万で購入した。




それでも出費は止まらない。泣きたくなるサロネーゼの懐事情


晴れてサロネーゼになった麻衣子さんに、まず最初の試練が訪れる。

集客問題だ。

幸い、麻衣子さんには趣味で続けていたブログに何人かの読者がおり、まずはその読者たちがレッスンに通ってくれるようになった。

しかし、永遠に生徒が来てくれる訳ではない。最初に集まってくれた生徒たちが一度認定講師として卒業してしまうと、また新たに集客をしなければならない。

「少ないパイの奪い合いです。生徒さん獲得のために格安で提供するサロンが出てきたら、勝ち目もないですし。」

生徒数には限りがあるのに、サロンは増えていくばかり。

「もし結婚していなかったらと想像すると、恐ろしくなりますね。サロネーゼとして生きていこうと思うならば、かなりの時間と労力が必要。成功している人なんて、ほんの一握りにしか過ぎません。」

旦那様がいて、生活の心配がないからこそ続けられているサロネーゼ。

麻衣子さんの口調から、Instagramで見受けられるような“キラキラした華やかな毎日”は感じられなかった。

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