<トランプには大統領にふさわしい知的能力が欠けていて、アメリカを危険にさらしている>

ドナルド・トランプ米大統領はかつて、「私は賢い人間だからね」と言ったことがあるが、何かの間違いではないかと思う。彼は賢くないし、大統領の職務をこなすだけの知力など到底ない。証拠はどんどん積み上がっている。

トランプは英エコノミスト誌の編集者たちに「(財政投融資の)呼び水効果」という言葉を聞いたことがあるか、と聞いた。経済の専門家である彼らはもちろん、と答えた。トランプは臆さず続けた。「つい2日前に思いついたんだ、うまい言い回しだと思ってね」──その言い回しは、大恐慌後の1930年代から広く使われてきた専門用語だ。

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外遊先のサウジアラビアから次の訪問国イスラエルに到着したときは、迎えに出たイスラエル首脳らに「今、中東に行ってきたところだ」と言った。

これは馬鹿ではなく無知ではないか、と反論されるかもしれない。トランプ支持者はよくそれを言い訳にする。ポール・ライアン下院議長は、トランプがFBI(米連邦捜査局)のジェームズ・コミー長官に圧力をかけて、ロシア疑惑で辞めたマイケル・フリン前大統領補佐官の捜査をやめさせようとしたことについて、「トランプ大統領はまだよくわかっていないから」と擁護した。だがトランプは大統領に就任してもう5カ月近い。それなのに、大統領職がどんなものか一向に学ぶ様子がない。

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ニュアンスは理解できないので省く

トランプは71年生きてきて、アメリカ最高の教育も受けている(トランプが常々自慢しているとおり、彼はペンシルバニア大学経営大学院を卒業している)。それでも、高校生レベルの基本的な知識さえ持ち合わせていないようなのだ。

なぜあんなにモノを知らないのか。トランプは本や長い記事を読まないせいもある。「読んだことがないんだ」と、トランプは自慢気に記者に語った。「いつも忙しくてね」

大統領に対して行われる安全保障情報に関するブリーフィングも、トランプの場合は易しく書き直され、微妙なニュアンスは省いて単純化され、地図やイラストを多用する。トランプがたくさんの文字は読みたがらないからだ。

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トランプ自身が、知識を得る能力や興味がないことを問題と思っていないのも、彼が馬鹿な証拠だと言える。昨年トランプは、「新しく学ばなくても、既に持っている知識と『常識』だけで」正しい決断ができる、と言った。「私には常識とビジネス能力が豊富だからだ」

世論調査で、トランプは大統領に留まるよりも弾劾がふさわしいという意見が多いのも無理はない。破滅的に愚かな入国禁止令から破滅的に愚かなコミーFBI長官解任まで、トランプ政権は人災に次ぐ人災だ。そしてこうした失態の直接的な原因は、大統領の知的パワー不足に他ならない。

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マックス・ブート (外交問題評議会シニアフェロー、国家安全保障が専門)