自己資本の水ぶくれが日本企業に蔓延 その課題は?

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 18日付けの日本経済新聞は、日本企業の自己資本が2016年度に初めて40%を超過し、過去最高となったことを伝えている。

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 プラスの面から見ると、この水準になれば財務状況が非常に安定していると看做され、破たんリスクが小さくなる。反面、企業活動を通じて利益を生み出す効率が低下するというジレンマを抱える。ことに株式市場は、米国企業との比較において劣っている日本企業の効率の悪さを冷静に見ている。

 米国企業は稼いだ利益を単純にため込むのではなく、配当と自社株買いで投資家に還元している。昨今、米国の株式市場では連日のように過去最高値を更新しているし、ドイツ・イギリスも好調であるのに対して、日本市場の日経平均が過去最高に遠く及ばない2万円前後で停滞している訳の一つがここにある。

 米国の株式市場がバブルに踊っているというよりは、増配と自社株買いにより株式の相対的な価値が向上し、魅力的な投資対象となっているから好調なのだと言える。

 米国企業が配当と自社株買いで株主に還元した比率が100%を超えているのに対して、日本企業のそれは48%にとどまっていることが象徴的だ。投資の恩恵を感じている米国の株主がますます積極的になり、日本の株主が魅力を感じられない株に対して腰の引けた対応になるのはむべなるかなである。

 稼ぎを自己資本にため込んでいると、資本効率は悪化し投資家にとっても魅力のない株になるうえ、企業の利益が社会に還元しないことから、経済活動全体の活性化に繋がらない。好景気が続いて戦後何番目かの長さになると伝えられているにも拘らず、それを実感できないと感じている人が多い理由は、全体が活性化していないからである。銀行にとっても、潤沢な自己資本を抱える企業は借入の必要性が低下するため、銀行の存在感がより一層低下するという悪循環から抜け出せない状況が続く。

 2007年の世界的な景気後退の際には、企業の内部留保を原資とする資産の一部を、雇用維持・創出に活用すべきだとの議論が盛り上がった。法人の財産である自己資本を政府が自由にできる訳はないが、このまま企業の自発的な対応策が見られなければ、何らかの形で内部留保に対する課税の強化を行うなり、企業のリスク投資を促すために投資減税を検討する等の議論が再燃することも考えられる。

 世界で戦うために外国企業に負けない魅力とは何かを、企業自らが考えて行動に移すことが必要である。