画像:「アヌシー国際アニメーション映画祭」公式サイトより

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 アヌシー国際アニメーション映画祭は、1960年よりカンヌ国際映画祭からアニメーション部門が独立するかたちで開催。歴史と権威のあるアニメーション映画祭として知られている。

 アヌシー国際アニメーション映画祭において、日本の作品がグランプリを受賞した例として、短編部門にて03年の『頭山』(監督:山村浩二)、08年の『つみきのいえ』(監督:加藤久仁生)が記憶に新しい。

 一方、長編部門で日本の作品がグランプリを受賞した例は、93年に『紅の豚』(監督:宮崎駿)、95年に『平成狸合戦ぽんぽこ』(監督:高畑勲)があるが、『夜明け告げるルーのうた』の受賞は、それ以来、22年ぶりの快挙となった。

 このほか今回の長編部門では『この世界の片隅に』(監督:片渕須直)が審査員賞、学生部門でも『夏のゲロは冬の肴』(監督:冠木佐和子)が審査員賞をそれぞれ獲得と、日本の作品が健闘を見せる結果となった。


 なおアヌシー国際アニメーション映画祭の直前に、クロアチアにてザグレブ国際アニメーション映画祭が開催されていた。こちらの長編部門ではスタジオジブリ作品の『レッドタートル ある島の物語』(監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット)がグランプリとなった(本作は今年のアカデミー賞にもノミネートされた)。

 またザグレブ国際アニメーション映画祭の学生部門では、『夏のゲロは冬の肴』がアヌシーと同じく審査員賞に選ばれた(冠木監督は14年に『肛門的重苦』でも、ザグレブではの学生部門でグランプリとなった経験も持つ)。

 アヌシー国際アニメーション映画祭とザグレブ国際アニメーション映画祭は、日本の広島国際アニメーションフェスティバルとカナダのオタワ国際アニメーションフェスティバルとあわせて、“世界4大アニメーション映画祭”と称されている。

 そして、いずれの映画祭もアカデミー賞の公認映画祭として知られている。特に今回はアヌシーで『夜明け告げるルーのうた』がグランプリとなったことで、アカデミー賞の選考レースに向けて存在感を示したに違いない。


 ちなみに『夜明け告げるルーのうた』など、最近の湯浅監督作品ではスタッフ募集を兼ねて制作に「Flash」の使用を謳っている。湯浅監督が「Flash」を覚える機会を得たのは、10年にフランスのアニメーション制作会社・アンカマの日本支社(14年撤退)が出来た時だった。そして13年、湯浅監督は制作スタジオ・サイエンスSARUを設立。

 日本での「Flash」は「Flash黄金時代」「おもしろフラッシュ倉庫」や『秘密結社 鷹の爪』(監督:FROGMAN)など、ネタ作品や「カットアウト」的な手法のイメージが強いものの、海外では普通に作画ソフトとしての利用も多い。アカデミー賞の長編部門でも14年に『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』(監督:バンジャマン・レネール、ヴァンサン・パタール、ステファン・オビエ)がノミネートされた。

 現在「Flash」の最新バージョンは「Animate」と名を変えている。アニメの制作だけでなく、アプリの開発やコンテンツ配信など様々に利用されてきた「Flash」だが、図らずして、もともと『マインド・ゲーム』(04年)などで評価の高かった湯浅監督が、アニメ業界界隈における「Flash」の“意識改革”や“地位向上”を担う格好になっているのも興味深い。
(取材・文/真狩祐志)

■アヌシー国際アニメーション映画祭
https://www.annecy.org/

■ザグレブ国際アニメーション映画祭
http://www.animafest.hr/

■サイエンスSARU
https://www.sciencesaru.com/