Rettyグルメニュース

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こんにちは。年間2,000軒ハシゴ酒をしている酒場案内人・塩見なゆと申します。

『ちょい飲み酒場放浪記』として連載をはじめましたが、まさか立石の「鳥房」を紹介することになるとは…。

いえ、とっても素敵なお店なんです。ただ、ちょい飲みでは済まないボリューム満点の鳥料理で飲むお店なので、お酒は”ちょい”でもお腹はしっかり満たされます。飲みに行かれる際はお腹に余裕を持ってどうぞ。

立石はノンベエが集まるワンダーランド

再開発の話が進行中の立石ですが、現時点では駅周辺は昔と変わらず昭和ムード100%の街並みが残っています。私鉄の小さな駅、古いアーケードの商店街と駅前踏切。八百屋や魚屋などの商店が元気で人情味あふれる立石は、今最も現役な下町といえるでしょう。

そして、下町の夕焼けの顔といえば赤提灯。立石は正午を少し回ったくらいからあちこちの飲み屋に暖簾が掲げられ、地元の常連さんたちで賑やかになります。

最近はそんな立石のウワサを聞きつけた全国のノンベエが集まり、ますます賑やかです。もつ焼きを食べるなら○○、酎ハイは○○と、ジャンルごとに皆さんのお気に入りがあり、鳥で飲むなら「鳥房」が定番です。

酒飲みのマナーを守って、先輩やお店を敬う心を大切に

観光地化した酒場には、ときにはノンベエのマナーを考えずに遊びにくる人もいますが、酒場は配慮の気持ちがなにより必要。下町情緒を楽しむということは、その世界で暮らし飲んでいる地元の方々を敬ってこそ成り立ちます。

居酒屋は喫茶店ではないので、食べて飲んだら席を空け長っ尻はしない。お酒は一杯でねばらず、ほどよく飲むべし。多くても4人以下で行き、場の空気を乱さないように配慮をもって楽しみましょう。難しくはなく、たったこれだけのこと。そうすれば、きっとお互いに気持ちよく過ごせるはずです。

ちなみに、鳥房はお酒を飲んできたお客さんはお断りですので、梯子酒ならば必ず一軒目で。

鳥房は80年続く鳥専門店

立石駅通り商店街に店を構える鳥房は、まるで昭和をテーマにした映画セットのような佇まい。

商店街のお肉屋は数あれど、いまどき鶏肉専門店は珍しい。鳥房は、この鶏肉屋の「フードコート」的な存在で、店の裏に回ると居酒屋の入り口がみえてきます。

長年使い続けている建物は、手入れが行き届いているものの昭和の残り香に包まれた空間。混雑状況によって小上がりに通されることもありますから、座敷に上がりやすい服装で。

16時の口開けに合わせて、店内は鳥房の味に魅せられた長年通う常連さんであっという間に埋まります。看板料理の若鳥唐揚がみんなのお目当てで、これが売り切れてしまうと19時であっても暖簾が仕舞われてしまいます。

日祝は15時オープンですが休日とあって観光客も多く、できることならば平日の「定時ダッシュ」で駆けつけるのがおすすめ。

料理は昔からたった7種類! え、唐揚は時価!?

可愛らしい短冊にかかれた品書きは、昔からずっと7種類。

お新香とは何かはわかりますが、他の鳥南蛮漬や鳥からし味など一体どんなものか興味をそそる料理があって、何度か通ってすべて制覇したくなります。

看板料理の若鳥は「時価」と書かれていて、蟹を注文するような緊張感が走るかも? だいじょうぶ、ここは下町、なんということありません。

注文を聞いてくださるお姉さんが、前置きなしに「630、680、730」と、呪文のように三桁の数字で問いかけてきますので、これが若鳥唐揚の価格です。

若鳥唐揚を頼むかどうかを決めていないのに、着席とほぼ同時に呪文が飛んで来るので慌ててしまいそうですが、値段はそのままサイズ別なのでお腹の具合に合わせて頼みましょう。

初めての方は一番小さいサイズを強くおすすめします。だって、ここは町工場の街・立石。高度経済成長時代の満腹料理をあなどってはいけません。

飲み物はビールがおすすめ。キリンラガーの大びんが空間に溶け込み美しい

飲み物は悩むことなくビールで。

酒場にもっとも似合う飲み物・ビール大びんをみんなで注ぎあい乾杯です。もちろん、一人で来ても瓶ビールをちょいちょい飲むのが鳥房の基本。

お通しの「鶏皮煮たもの」をおつまみに素敵な時間が始まります。若鳥唐揚は必ず頼むとして、すぐでる料理に「ぽんずさし」をお試しあれ。

鮮度抜群の鳥をつかったたたきに、鷹の爪やネギをポン酢に浸けたピリカラの薬味をたっぷり載せた一品。酸味と辛さと旨味で、これからの季節、特においしく感じられます。

ほぐし方を教えてくれる優しさもおいしさのポイント

しばらくすると「おまちどうさま」と登場、若鳥唐揚。

これを食べると巷の鳥料理もかすれて見えるほど。

630円と低価格ながら鳥半身がデーンと丸揚げされ、なによりこれが女性でもぺろりと完食してしまうほど美味なのです。

生後30日程度の若鳥を使うことが美味しさの秘訣だそう。表面が驚くほどパリパリで、三度にわけて揚げる長年の技がいきています。独自のスパイスで下味がついていますが、ほとんど塩味だけで食べるようなもの。

パリっとかんだ後に溢れ出るジューシーな肉汁から鳥の旨味が溢れ、塩だけで大満足の美味しさです。途中から「ぽんずさし」の薬味で"味変"する裏技もぜひ。

半身まるままでてくる唐揚は、はじめての人だとほぐし方がわからず困ってしまいそうですが、お店の方に聞けば方法をちゃんと教えてくれますからご安心を。そんな会話から感じる人情も美味しさのポイントなのです。

1人2,000円ほどの庶民派価格も嬉しい。酒飲みワンダーランドの立石で、鳥酒場の魅力を体験してみませんか。

 

【本日のお会計】

ビール 580円
お新香 300円
ぽんずさし 550円
若鳥唐揚 630円

お会計=2,060円

 

https://retty.me/area/PRE13/ARE17/SUB1703/100000058938/

 

 

ライター紹介

塩見なゆ

酒場案内人/フリーランス。作家で飲兵衛の両親に育てられた生粋のお酒好き。毎日5軒以上はハシゴ酒、年間2,000軒の酒場を飲み歩いています。Web・TV等で酒場情報を発信中。 ・ブログはこちら ・Twitterはこちら