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育児休業から復帰したあと、「マタハラ」を受けて退職を余儀なくされたとして、石川県内のドラッグストアチェーン店につとめていた30代女性が6月19日、会社側を相手取り、雇用契約上の地位確認や未払い賃金の支払いを求めて金沢地裁に提訴した。一方、会社側は全面的に争う姿勢を示している。

訴状などによると、女性は2003年から、北陸地方を中心にドラッグストアチェーンを展開する「クスリのアオキ」(本社:石川県)に正社員として勤務。2015年に第2子を出産し育児休業を取得したあと、2016年6月に「育児短時間勤務」(8時30分〜15時30分)で職場復帰した。ところが直後から、22時まで働くシフト「遅番」を月9回も求められたという。

子どもの保育園の迎えに支障をきたすことから、女性は店長に相談したが、逆に「遅番月9回できないなら、雇用形態の変更(パート)か退職どちらにするか考えろ」と迫られるなど、「退職勧奨」を受けたすえに2016年8月に退職したとしている。加入している労働組合「クスリのアオキユニオン」を通じて、会社側と話し合いを続けていたが、解決に至らなかったため、復職などを求めて提訴に踏み切った。

●労働組合「育児介護休業法や雇用機会均等法に反している」

この日、ユニオンが加盟している「UAゼンセン」が東京・霞が関の厚生労働記者会で記者会見を開いた。UAゼンセン法務担当の松崎基憲弁護士は「育児短時間勤務をとったことによる不利益な取り扱いにあたり、育児介護休業法や雇用機会均等法に違反している」と述べた。

UAゼンセンによると、「クスリのアオキ」では、把握しているだけでこの女性を含めて2人が退職、3人がパートに雇用形態を変更しているという。「育児短時間勤務」の女性社員だけが月9回の遅番を求められるなどしているとして、育児をきっかけとした「マタハラ」にあたると説明している。

●会社「把握している事実とまったく違う」

一方、「クスリのアオキ」の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「まだ訴状が届いていないが、当社が把握している事実とまったく違う。原告の主張は認められない」とコメント。裁判で全面的に争う姿勢を示した。

同社は(1)原告にかぎらず、月9回の遅番を求めていたので、不利益な取り扱いにあたらない、(2)「遅番月9回できないなら、雇用形態の変更(パート)か退職どちらにするか考えろ」などと退職勧奨した事実はない、(3)退職届は手続きとして有効だったが、原告の生活のために再入社手続きをすすめていた――と反論している。

(弁護士ドットコムニュース)