ポルトガル・フィゲイロドスビーニョスで、森林火災により立ち込める煙(2017年6月18日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】ポルトガルで少なくとも62人の犠牲者を出した大規模な森林火災で、自家用車に乗車中に辺り一面を炎に囲まれたルイス・プリオール(Luis Prior)さん(55)は正面突破を試み何とか脱出に成功、辛くも一命を取りとめた。

 しかし、プリオールさんのような人ばかりではなかった。森林地帯で炎が燃え広がる中、国道236号は地獄の道と化し、そこで大勢の人々が命を落とした。

 この国道は、同国の都市フィゲイロドスビーニョス(Figueiro dos Vinhos)とカスタニエイラデペーラ(Castanheira de Pera)をつないでいる。ポブライス(Pobrais)村付近では18日午後、黒焦げになった車両少なくとも10台前後が道路をふさぎ、その周りには当局により規制線が張られていた。

 銀行員のプリオールさんは、義理の兄(弟)とともにビラファカイア(Vila Facaia)を訪れた帰り道に森林火災に遭遇し、暴風にあおられて突然燃え上がった炎から必死に逃げたという。

■「どこもかしこも炎の海」

 プリオールさんによると、およそ10分の間に辺りは一面炎に包まれたという。

「私たちは逃げ場所を求めて進行方向を変えてみたが、どこもかしこも火の海だった」、「私はついに自分の車を乗り捨てて義理の兄(弟)の車に飛び乗り、いちかばちか炎の中でひたすら車を走らせた」

 そして1〜2キロ走るとようやく、炎の外の安全な場所に出ることができた。途中、消防士の姿は確認できなかったと2人は話す。

■母親と4歳の娘を失った女性も

 そこから数キロ離れたノデイリニョ(Nodeirinho)村の入り口には、焼け焦げた車が1台とまっており、記者たちが近づかないよう警官が監視していた。この村の周囲にあるユーカリとマツの林は、今回の森林火災で壊滅的な打撃を受けた。

 カフェで涙に暮れる女性の傍らに座っていたイザベル・フェレイラ(Isabel Ferreira)さん(62)は、この村で起きたことをAFPに語った。

 フェレイラさんは、「知り合いの中にも何人か犠牲になった人がいる。同僚は母親と4歳の娘を失った。2人を車の後部座席から出してやることができなかった」と話した。

 フェレイラさんは、「この地域ではこれまでにも山火事が起きたことは何度かあるけれど、人が死んだことは一度もない」と語り、「こんなことは初めて」と続けた。
【翻訳編集】AFPBB News