AKB48の49枚目のシングルを歌うメンバーを決める「AKB48 49thシングル 選抜総選挙」は、先週土曜(6月17日)、沖縄にて開票結果が発表された。


当日、夜7時から始まったフジテレビでの中継は騒然とした雰囲気のなか始まった。ちょうど20位にランクインしたNMB48の須藤凛々花が、スピーチのなかで突然「結婚宣言」したためだ。このとき、発表会場(豊見城中央公民館)のステージ裏からネット生配信も行なわれていたが、MCの柏木由紀(AKB48・NGT48兼任。今回の選挙には立候補を辞退)らも事態が飲みこめず、戸惑うばかり。まあ当然だろう。

そもそも今回の総選挙は、投票前から予想外のできごとがあいついだ。まず、開票イベントとその前にコンサートの開催の予定されていた豊崎海浜公園・豊崎美らSUNビーチでは、6月に入ってウミガメの産卵が確認され、そのための対処がなされた。

だが、肝心のビーチでのイベント開催は、大雨・落雷の恐れがあるとの予報から、前日の16日になって中止が決定。結局、開票結果発表は無観客で実施という、異例の形での開催に。そこへ来ての須藤の結婚宣言、さらには第2位にランクインしたAKB48の渡辺麻友の卒業発表、そして指原莉乃(HKT48・STU48兼任)の3年連続4度目の第1位獲得と、さまざまな面で世間に注目され、ファンには強く記憶に残る総選挙となった。

ここではゴシップ的な話はひとまず措いて、ランクインしたメンバーのコメントや獲得票数などから、あらためて今回の選抜総選挙を振り返ってみたい。

小朝が的中させた「指原3連覇」


今回、開票前より話題を呼んでいたのはやはり、2014年以来、トップを争い続け、今年が最後の立候補と互いに表明していた渡辺麻友と指原莉乃の“最終決戦”だった。

今回の選抜総選挙開催にあたり発売された『AKB48総選挙 公式ガイドブック2017』では、何人かの識者が、シングルのタイトル曲を歌う選抜メンバー16名が誰になるのか、順位を予想していた。その大半が、おのおの個人的な期待も込めて1位に渡辺麻友をあげるなか、「彼女は別格」として指原莉乃の3連覇を予想したのは、落語家でAKB48ファンとしても知られる春風亭小朝である。

《指原莉乃さんがダントツの票数を集めて2年連続1位を獲得している以上、今年も1位になるのはほぼ間違いない。渡辺麻友さんが今年で最後とはいっても、指原さんを抜くまで票は集まらないだろうというのが予想です》

これは同じ芸能者として、人気の波に長年さらされてきたがゆえの勘だろうか。ふたを開けてみれば、この予想はずばり的中、指原は24万6,376票と、渡辺麻友の獲得票数(14万9,132)に約10万もの差をつけての圧勝であった。

ただし、さしもの小朝も、新潟のNGT48の荻野由佳が昨年の95位から一気に5位に浮上し、選抜入りすることまでは予想できなかった。思えば、小朝は36人もの先輩を抜いて真打に昇進した経歴を持つが、荻野の“90位ランクアップ”はそれに匹敵する常識破りの躍進ではなかろうか。

メンバーが語ったグループの現状に対する危機感


今回のランキング全体を見ると、AKB48が最初の人気のピークに達したと思われる2010〜2012年とくらべても、一人ひとりの獲得票数は多く、まだまだファンの関心は高いといえる。

だが一方で気がかりなのは、選抜のボーダーラインが微妙に下がったことである。2013年以来、16位までの選抜メンバーの各獲得票は4万以上で推移してきたのが、今回は16位の吉田朱里(NMB48)が3万5,540票、15位の高柳明音(SKE48)が3万8,576票であり、14位の古畑奈和(SKE48)でやっと4万を超えた(4万202票)。


ここしばらく、AKB48とは「公式ライバル」という設定の乃木坂46、あるいはその姉妹グループの欅坂46など、ほかのアイドルグループの活躍もあり、AKB48グループは押され気味である。それだけに、今回の総選挙でランクインしたメンバーのスピーチにも、グループの現状に対する危機感がうかがえた。

たとえば、11位で選抜入りした高橋朱里は、「AKB48の姉妹グループやそのほかのグループに推し変してしまっているファンの人たちには後悔させてみせます!……とは思っていないんですけども、みなさんが1周、2周まわって戻ってきたとき、AKB48が輝いている存在であるよう精進したいと思います」と語った。

3連覇を達成した指原も、今回、開票イベントが中止になったことを踏まえつつ、「こうした一つひとつの積み重ねで、皆さんの気持ちが離れていくことが本当に怖いです」「そして、いま大事な仲間が卒業発表をして、これからどうなっちゃうんだろうって本当に不安です。これからメンバー、スタッフ一丸となって頑張りますので、AKB48を見捨てないでください!」と訴えている。

世代交代の波


先述のとおり今回5位に入った荻野由佳は、投票開始の翌日(5月31日)に発表された速報では1位で、それ以降も票数を着実に伸ばして初の選抜入りをはたした。これを実現させたのも、48グループの現状を打破するべく、世代交代を期待するファンの思いだろう。

今回の選抜メンバーを見ると、たしかに世代交代を実感する。今回初めて選抜入りしたのは荻野および前出の吉田朱里と古畑奈和に、13位の本間日陽(NGT48)、2位の白間美瑠(NMB48・AKB48兼任)、8位の惣田紗莉渚(SKE48)を加えた計6人で、選抜選挙史上最多となった。

このうち惣田は昨年30位からの8位で、やはり躍進といえる。惣田の場合、握手会を中心にファンとの交流を大事にしてきた成果だ。その点で、今回6位で昨年に続き選抜入りしたSKE48の先輩・須田亜香里とも共通する。

SKE48といえば、48グループ最年長の27歳の松村香織が今回18位に入り、先述の須藤凛々花の「結婚宣言」の直後にスピーチすることになった。このとき、松村が機転を利かせ「りりぽん(須藤)よりも先に48グループ初の寿退社をしたいと本気で思っています」「恋愛禁止は聞いたことがありますが、結婚禁止は絶対に聞いたことないし、たぶんりりぽんが大丈夫なら私も大丈夫だと思うので、寿卒業をしたいと思います」と、さっそく自虐ネタにしていたのは、さすがだった。

選抜メンバーによる新曲に期待


その須藤の結婚宣言について、私としては、本人の意志ができるかぎり尊重されるよう望みたい。それとともに、このことがきっかけで、グループ内で対立が生じるなどということがないか、ちょっと心配でもある。

このほか、色々と議論も呼んだ今年の選抜総選挙。残念ながら開票イベントは中止となったが、きっと来年は今回の反省が生かされるものと信じたい。どこで開催されるにせよ、来年はおそらく、昨年「来年は1位になる」と宣言しながら、今回の総選挙は結局3位と4位にとどまった松井珠理奈(SKE48)と宮脇咲良(HKT48・AKB48兼任)がトップ争いを繰り広げるのではないか。

その前に、指原莉乃をセンターに、今回総選挙で決まったメンバーで、どんなシングル曲が生まれるのか気になるところ。「恋するフォーチュンクッキー」「ハロウィン・ナイト」に続く名曲をひとつ、ぜひ!
(近藤正高)