連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第11週「あかね荘へようこそ!」第66回 6月17日(土)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:福岡利武


66話はこんな話


朝に弱いみね子(有村架純)。うっかり目覚まし時計をセットし忘れて、寝過ごしてしまう。
毎朝けたたましく鳴る音がしないので、早苗(シシド・カフカ)は気になって・・・。

「今日も1日よく働きました。寝るのが一番幸せな時間です」


土曜の朝放送の66話は、仕事終わりのスケッチからはじまる。
男たちは飲みに行き、女たちは銭湯へ。鈴子(宮本信子)の家には内風呂があるが、あえてみんなと銭湯に行くことを説明。
和菓子屋の息子柏木ヤスハル(古舘佑太郎)は、ひとり、中庭でギターを奏でるも、早苗に「うるさい、下手くそ」と一蹴されてしまった。

「今日も1日よく働きました。寝るのが一番幸せな時間です」
こう言って、布団に入るみね子。
奥茨城村、乙女寮・・・と親しいみんなの夢を見るが、外のネオンのせいで紫色の夢になってしまうのだとか。
この時代、壁も薄けりゃ、カーテンも薄い。

目覚ましをセットし忘れ、朝、目を覚まさない。
階下の早苗は、目覚ましが鳴らないことが気になって、起こしに来る(このときかかる劇伴が、緊迫感のある音楽〈豊子が立てこもったときと同じ〉であることが可笑しい)。
神経質な面もあるのと同時に、優しいところもあるようだ。

早苗がドアを大きい音で叩いたおかげでみね子は、遅刻を免れる。

「今日一日がんばったら、明日はなんとお休みです」


こうして、がんばったみね子は、日曜を迎える。だが、間違えて、目覚ましをセットし、うるさく鳴らしてしまう。
またも苛立って早苗がやって来たことに気づかず、みね子は自主的に時計を止めた。
共同の炊事場(現代のシェアハウスですな)へみね子が行くと、早苗が素知らぬ顔をしてお茶の用意をしていた。
そこへ、慶大生・島谷(竹内涼真)が入って来くる。早苗に「ずいぶん優しい人なんだ」(黙って、みね子を起こしてあげた)と言うと、早苗は「なんだか上から下々の庶民を見下ろしている感じが」と島谷批判をはじめる。
これは、自分の親切(?)を語られたくない照れなのかなんなのかわからないが、そこから、島谷の御曹司っぷりが暴露される。妙にケンカごしな早苗に、むっとする島谷。なんだか険悪なムードになったところを、やって来た漫画家・新田(岡野天音)が止めようとすると、今度は、矛先が新田に向い、早苗は彼を「貧乏神」呼ばわり。相棒にも捨てられたことを口にして、新田の心をズタズタにする。新田は同郷(富山)の藤子不二雄にあこがれているだけあって、コンビ漫画家を目指していたのだ。
このまま、言われっぱなしではいられない(65話の省吾の話と通じるものがある)。島谷は、早苗の、性格のキツさに言及し、見合いを40回(正確には38回)断られている、というデリケートな個人情報を暴露し反撃。ここでもまた緊迫の劇伴がかかる。

ギスギスした空気をみかねたみね子が「なんでそんなにお互いのことを知っているのか?」と問えば、皆、
大家(白石加代子)から聞いたと言う。
大家は、電話で各家庭と話し、情報を仕入れていたのだ。
しかも、その電話は、「美味しいもの目当て」。
大家・富は、かなり食いしん坊な人らしい。さすが、売れっ子芸者。美味しいものをたくさん食べてきたのだろう。そして、電話でいろいろ聞き出し、美味しいものをせしめる、手のひらで人を転がすような技ももっている。

こうして、週末は、今週から登場したあかね荘の人たちを、今一度うまい具合に紹介する回となった。

時間経過の表現


上手(右)、あかね荘から中庭に出てくるみね子。照明は朝日の白色。みね子が、下手(左)のすずふり亭の厨房に入っていく。カメラが上手に向かうと、照明が西日のアンバーになる。そのまま上手に行く間に、暗くなって夜に。これで1日の経過が表された。これはCG処理なのか、それとも、舞台のように照明で処理しているのか気になる!
ヤスハルがギター抱えて出て来るところや、炊事場の4人の会話も、舞台劇のようだった。
いずれにしても、同じセットが続き、どうしても単調になりがちな画に変化を加える演出やスタッフの仕事は評価に値する。
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