松岡茉優、シニア世代も虜に 『やすらぎの郷』ハッピーちゃんの愛されキャラ

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 今年度も女優として好調な活躍ぶりを見せている松岡茉優。初主演映画『勝手にふるえてろ』や、7月から放送の新ドラマ『ウチの夫は仕事ができない』(日本テレビ系)など出演作が続々と控える。現在放送中のドラマ『やすらぎの郷』(テレビ朝日)でも、往年の大スターに囲まれる中、紅一点……ではなく若さ一点を担い、文字通り潤滑油としてドラマを引き立てている印象だ。放送開始から2ヶ月以上が経った今でもその人気は衰えず、世代を超えて面白さにハマる人が続出中の『やすらぎ郷』。同ドラマでの松岡の魅力について考察してみたい。

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 松岡が演じる財前ゆかりは、俳優やミュージシャンだけが集うことのできるテレビ人専用の老人ホーム「やすらぎの郷 La Strada」の施設内にあるバー「カサブランカ」で働くバーテンダーだ。入居者から「ハッピー」と呼ばれている愛されキャラで、施設の住人たちの密談や愚痴を、ニコニコしながら聞いている。主要登場人物の中でも平成8年生まれの設定で一番若く、みんなの孫のような存在。それぐらいの歳の差だとジェネーレションギャップで何か言い返したくなることもあるだろうが、そこはバーテンダーなので「へぇー」と感心があるように受け入れて行く。些細なことであるが、視聴者であるシニア世代が感情移入するうえで、孫のような世代の女性が昔話に耳を傾け、受け入れてくれるだけでも嬉しいものだろう。

 また、1話丸々バーのシーンだけということもあり、ハッピーちゃんが相槌を打っているだけでも場が和み、ドラマのアクセントとなっている。まさにお年寄りの膝関節を和らげる、ヒアルロン酸やコンドロイチン的な存在。また、松岡の若干昭和の女優テイストな顔立ちがこのドラマにピッタリなのだ。そんなハッピーちゃんを自然に演じられるのは松岡の演技力があってこそ。倉本聰に言われた「ハッピーちゃんはいつ会ってもすごくハッピーそうな人」(引用:松岡茉優、『やすらぎの郷』ベテラン俳優に囲まれ「正解は一つじゃない」/ORICON NEWS)というのを心がけて演じていると言う松岡は、本当にいつもニコニコと嫌味のない笑顔で、気難しそうなお年寄りたちの心を掴んでいる。可愛らしさが滲み出ているのだ。

 松岡は、役によって表情がまるで違う天性の凄みを持つ女優。『やすらぎの郷 Premium Talk』と題した番組宣伝で倉本と松岡が対談した際に、芝居の上手い人について倉本は「間合い。その間のときに何を考えているかというインナーボイスが世間に伝わる。それを演じられることが上手い役者」と答えていたが、まさに松岡はそれができる女優だ。

 しかし、今回の笑顔のキャラは、「一語一句セリフを変えてはならない」というのが定説の倉本脚本であり、テレビドガッチのインタビューで松岡は「私の感覚では脚本家さんは、ある程度のところまで書いて、あとは演じる役者次第だと思っていましたが、倉本先生は役一人ひとりのことをすごく詰めてくださっていて、ものすごく細かく設定されている点に驚きました」「私は台本が半分もできていない段階で先生にお会いしたんですが、そこでハッピーちゃんについての大事な情報はすべていただいたので、後は膨らんだ風船を紐で結ぶだけの状態。普通なら、膨らませるまでが私(演者)の仕事だと思っていたんですが、その点にすごくびっくりしました」(引用:松岡茉優、倉本聰作品で固定観念を払拭)と語っている。自然に見えて一番演技がコントロールされている役だと言える。ただそれが、フェイクドキュメンタリードラマである『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』(テレビ東京系)での松岡本人を演じた役に一番近い演技を見せているのだから実に興味深い。

 ちなみに、『やすらぎの郷 Premium Talk』で倉本がいろいろと先生の立場から気持ちよく語っていたのを見ると、『やすらぎの郷』でハッピーちゃんが聞き手としてご老人たちを気持ち良くしていく姿と重なった。倉本も手玉に取る女優・松岡茉優恐るべしである。

 みんなが応援したくなるようなキャラクターでコメディが続いていた松岡だが、国民的な女優としての安定期に入ったように思える。松岡が出ていれば面白い作品だと思える存在になりつつあるのだ。

 『やすらぎの郷』も9月いっぱいまで続く予定なので、松岡茉優の癒しの笑顔にまだまだ逢えそうだ。(文=本 手)