Melpomene / PIXTA(ピクスタ)

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 身に付けたいスキルをパーツ分解して、コアスキルを反復演習する「分解スキル反復演習型能力開発プログラム」を実施している。プログラムの参加者から受ける相談に、「メール送受信する同士で関係が悪化する」「メールで物事が決まらない」「メールのやりとりをどこで終わらせていいかわからない」「メール返信が来ない」といったような、メールに関するものが増えている。

 相談をしてくる人が、どのようなメールを送受信していのるかを拝見すると、確かに、送受信する度に険悪なフレーズが盛り込まれていたり、何度も往復しているにもかかわらず結論が出ていなかったり、あまり意味のない応酬が繰り返されていたり、送信したまま返信がなかったりしている。

 実は、これらのメールは、相談してくる人のメールだけでなく、相談してこない人で、特段問題を感じていないという人のメールにも、みられるのだ。自覚していないで、こうした状況に陥っているケースが少なくない。

 メール内容を拝見し、この問題を解決するためのコアスキルを見極め、反復演習する中で、どうやら、メールの書き方、送り方を改善すれば、解決することがわかってきた。それも、ちょっとした書き方、送り方を変えるだけで効果があるのだ。

◆命令、断定が関係を壊す

 そのコアスキルとは、「メール送受信する同士で関係が悪化する」ケースでは、語尾の書き方のスキルである。関係が悪化するメールの語尾は、命令や断定が多いのだ。「○○してください」「○○しなければなりません」という表現だ。「なぜですか?」という質問メールには、「○○ということで決まっています」という、これも断定で返している。

 これだけ申し上げると、読者の中には、「ビジネスは上司と部下で成り立っているので命令して何が悪い」「ビジネスはルールで成り立っているので、断定しなければならないだろう」……と思う人もいるに違いない。

 確かに、ビジネスには命令も必要だし、規程も不可欠だ。私が申し上げたいのは、それをメールでどう表現するかということだ。もしメール表現ひとつで、それも語尾を工夫するだけで、メールのやりとりをする度に険悪な関係になることを避けることができれば、工夫してみたいと思わないか。

◆語尾を質問、心情の吐露、示唆に変えるだけで、劇的に変わる

 語尾の工夫とは、とても簡単なことだ。嫌悪感を与えないメールの語尾の実例は、「○○してください」ではなく、次のような表現だ

・○○していただいてもよろしいでしょうか
・○○という方法はいかがでしょうか

・○○していただいたら有難いのです
・○○していただくとたいへん助かります

・○○していただくことも一方法でしょう
・○○してもよいかもしれません

 最初の二つが、命令ではなく、質問をする方法だ。やっていただけますか、そのよう方法はどうでしょうかと問い、相手の意思を確認する方法だ。次の二つは、自分の気持ちを吐露する方法だ。私としては有難い、助かるということを表明して、相手の自発的な行動を促す方法だ。最後の二つが、こうすることも一方法でしょうか、よいかもしれませんというように、示唆する方法だ。

 これらは架空の話法でもなければ、理論から生み出されたものでもない。円満なコミュニケーションが実現したメールの語尾の実例だ。にもかかわらず、これらの事例を紹介すると、「質問などして、相手からNOと言われた困るではないか」「やってもらわなければならないのだから、質問をするのではなくて、命令をするしかないだろう」というご意見をいただくことがほとんどだ。

 そうしたご意見をいただいた場合には、まずは試してみてくださいと申し上げている。そして、試していただくとほとんどの方がスムースにコミュニケーションできるようになったという報告をしてくださる。命令や断定よりも、質問や心情の吐露や示唆の方が、実は相手を動かす力があるのだ。そして、これら3手法それぞれに、効果が出やすい場面というものがある。