イノシシの頭蓋骨(中央)や牛の角を使ったスマホ用のスピーカー。木材も鏡野町産だ=鏡野町百谷

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 駆除されたイノシシやシカ、地元の山の木材を使ってスマートフォン用のスピーカーや壁飾りを作っている男性がいる。岡山県鏡野町百谷の竹下桂輔さん(47)。地域に眠る資源を実用的で美しい作品に変えている。

 四つの牙をむいたイノシシの頭蓋骨(ずがいこつ)から音楽が流れてくる。所有する山に生える桜の木と組み合わせ、スマホの音量を2倍ほどに大きくし、やわらかい音色を出す。廃棄されるはずだったイノシシの骨を活用した、インパクトのあるスピーカーだ。

 このほかにも、牛の角を使ったラッパ付きスピーカーや、シカの頭蓋骨を使った壁飾りもある。いずれの材料も鏡野町のものだ。

 「ジビエの皮や骨もうまく処理すれば資源になる」と竹下さんは言う。同町の出身で、都内でドラマーとして活動した後、2008年に実家に戻ってきた。農業と林業を営む傍ら、山林の木を使ってスピーカーやイスを作っていた。

 昨年、同町の青年農業者クラブ泉会と協力し、有害駆除されたイノシシやシカを活用した作品づくりに取り組んだ。東京で音楽活動をしている知人らにスピーカーを贈ると、「これはすごい」と評判になった。

 共通の知人から竹下さんのスピーカーを紹介されたという三重県桑名市に住む奈城(なしろ)由大(よしひろ)さん(33)は「圧倒的な存在感がある」と評する。「音楽に携わっていた竹下さんだからこそ、音もこだわり抜かれている。優しい、特別な音になっている」と話す。名古屋市の飲食店などに作品を販売しようと準備中だ。

 竹下さんの作品には、家の後ろにそびえる標高1209メートルの泉山(いずみがせん)を模した焼き印が入る。「大好きな地域で育まれたものを使い、作品を作れるなんて、こんなに素晴らしいことはない」と話す。

 近く作品を販売するホームページが完成する予定だ。問い合わせは竹下さん(090・3745・0999)へ。

 県鳥獣害対策室によると、イノシシやシカによる農作物の被害額は昨年、計1億2740万円にのぼった。捕獲件数はイノシシ約2万頭、シカ約1万5千頭(いずれも2015年度)で、増加傾向にあるものの、そのほとんどが活用されずに廃棄されているという。

 県は今年度からシカやイノシシを食肉として有効活用しようと、加工品の開発や販路開拓に取り組む岡山市と倉敷市の事業者に補助(上限70万円)を始めた。担当者は「地域資源として新たな需要を掘り起こしてほしい」と期待する。(国米あなんだ)