By Penn State

SpaceXの宇宙ロケットは既存の宇宙ロケットに比べて低コストで、さらに使い捨てではなく再利用が可能な設計であるため、「再打ち上げ」が実用化すれば従来の半分以下のロケット打ち上げコストを実現できることが公表されています。アメリカ空軍は例年、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)の使い捨てロケット「アトラス V」「デルタ IV」を使っているのですが、SpaceXはULAの5分の1程度のコストで宇宙ロケットを打ち上げられることが判明しています。

Air Force budget reveals how much SpaceX undercuts launch prices | Ars Technica

https://arstechnica.com/science/2017/06/air-force-budget-reveals-how-much-spacex-undercuts-launch-prices/



2014年にアメリカ政府監査院が、アメリカ空軍の宇宙ロケット打ち上げプログラムのコスト見積もりに関する報告書を公表しています。当時、このプログラムではユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)が全面的に採用されており、独占状態が続いていたのですが、アメリカ政府監査院は報告書の中でULAの打ち上げ価格の内訳が不透明であることを批判していました。同時期にSpaceXはアメリカ政府に対して低コストで宇宙衛星を打ち上げられると猛アピールしていたとのことですが、ULAの不透明なレポートにより正確にコストを比較することが困難だったそうです。

近年ではSpaceXが商業向けに「ファルコン9」を実用的な代替手段として提供し始めているため、税金で賄われているアメリカ空軍の予算の中に「ULAの不透明かつ巨額な宇宙ロケット打ち上げ費用」が存在することに対して批判が起きているというわけです。

アメリカ空軍は2018年〜2020年始めまでの予算見積もりを公表しており、2020年に行われるロケット打ち上げ1回当たりの最大費用が4億2200万ドル(約470億円)、同年後半には4億2400万ドル(約472億円)になると推定しています。これはULAによる見積もりではないため、正確な金額ではないそうですが、巨額の費用がアメリカ空軍の予算から出ていることを示しています。すでにアメリカ空軍におけるULAの独占状態は終わりを迎えており、SpaceXとの競合が始まっているとのこと。

例えば2016年にアメリカ空軍はSpaceXと契約を交わし、8300万ドル(約92億円)のコストでGPS衛星を宇宙に打ち上げています。さらに、2017年3月にも9650万ドル(約107億円)で同じ打ち上げプログラムを実施しています。このコストをアメリカ空軍の2020年のロケット打ち上げにかかる推定最大費用と比較すると、直接的に比較できるわけではないもののSpaceXの打ち上げ費用はULAの約5分の1ということになります。また、通常であれば軍事ロケット打ち上げには追加で数千ドルのコストがかかるサービス契約を設けるものですが、ファルコン9の商業打ち上げ枠を6500万ドル(約72億円)からという価格で販売しているSpaceXは、ライバルを駆逐するべく軍事ロケット打ち上げの追加コストを割り引くことも考えられ、独占的だったロケット打ち上げ市場の打ち上げコストは大幅に低下していくことが予想されます。



By NASA Kennedy