日中両国の相互理解の不足とはよく言われることだが、些細なことがきっかけでイメージがガラリと変わることもあるようだ。国際関係学院の王晨陽さんは、日本旅行のお土産を受け取った親戚の反応について作文につづっている。資料写真。

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日中両国の相互理解の不足とはよく言われることだが、些細なことがきっかけでイメージがガラリと変わることもあるようだ。国際関係学院の王晨陽さんは、日本旅行のお土産を受け取った親戚の反応について、次のように作文につづっている。

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私は、内モンゴル自治区額済納旗という砂漠の果てで生まれ育った。東京から3600キロ、日本との関係はほぼない。しかし、私は小学4年で「ナルト」にハマって日本に興味を持った。夕方5時半、ベルが鳴ると、教室を飛び出して走った。6時から始まる「ナルト」を見るためである。私の趣味は日本のアニメ。中学3年で、大学では日本語を専攻しようと決めた。しかし、中国では出身地で受験できる学部に制限がある。私はまず、英語学科に入学、1年間日本語を独学し、2年で日本語学科へ転科を果たした。

しかし、夏休みと冬休みが辛くなった。故郷に戻ると親戚に聞かれる「大学生よね、専攻は?」。「日本語」と答えると良くて苦笑い。大抵「なぜ、日本語?」と言われ、叔母には「売国奴にならないでよ」と言われた。砂漠の街には日系企業などあるはずもなく、日本との接点は何もない。日本は「中国を侵略した国」でしかない。日本語を専攻して、私と親戚との間には溝ができた。

大学2年の11月、私はスピーチコンテストで3位になった。そのおかげで訪日団の一員に選ばれ、3月に1週間、日本を旅行できた。初めての海外旅行、親戚にも海外旅行経験者はいない。日本のお土産にと、私は免税店で化粧水を買った。1本1500円、私の所持金ではこれが精一杯だ。

帰国後、叔母と従姉に化粧水をあげた。すると、意外にもこれまで見たことがない笑顔で喜んでくれた。「日本は嫌いでも日本の化粧品は別か」とちょっと驚いた。その約1カ月後、叔母から電話がきた。「この前の日本の化粧品ね、最高なの。1カ月使っただけなのにしわが減って肌がつるつる!すごいわ!こんな物が売っているのね。日本は思ったほど悪くなさそうね」。私はぽかーんとした。たった1500円の化粧品が叔母の肌だけでなく、日本観まで変えてしまったからだ。

中国人はどこであろうと旅行に行ったら、お土産を買って友達や親戚に贈る。それが習慣だ。その時、「お土産はそれを買ったところを象徴する」ということをもっと意識してもいいのではないか。つまり、日本で買うお土産は中国人に日本の一面を見せ、日本との接点になる。だけど、「爆買い」は不要である。化粧品一つ、漫画1冊、Tシャツ1枚、「白い恋人」一つ。それが日本を語り、日本と中国人の接点になり、幸運なら日本観も変える。

旅行に行ったら日本文化の精華や日本人の気持ちが感じられるものを買ってほしい。そうしたら、製品の良質さ、メーカーの真面目さ、職人の技、漫画家の勤勉、お菓子に込められた愛情が中国人にこれまで知らなかった日本を伝える。少しでもいい、日本観が変われば、日本に対する理解が深まる。もっと理解し合えば、中日両国間の誤解が減り、新たな中国と日本の関係を切り拓く日が必ず来る。訪日中国人が「爆買い」以外にすべきこととは、日本を語るものを1つ買うこと。私はそう考える。(編集/北田)

※本文は、第十二回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「訪日中国人『爆買い』以外にできること」(段躍中編、日本僑報社、2016年)より、王晨陽さん(国際関係学院)の作品「日本を語るものを1つ買う」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。