みね子(有村架純)の新生活が始まった。向島電機の倒産により職を失ったみね子であったが、なんとかすずふり亭で働くことに。すずふり亭のすぐ隣にある、あかね荘で暮らすことも決まった。『ひよっこ』(NHK総合)の第11週「あかね荘にようこそ!」は、そのタイトルが表す通り、新しい登場人物の素性が明らかになる賑やかな週だ。美味しいものに目がない曲者の大家、富(白石加代子)、御曹司で慶應ボーイの島谷(竹内涼真)、ミステリアスではっきりと物事をいうオフィスレディーの早苗(シシド・カフカ)、なかなか芽が出ない漫画家志望の啓輔(岡山天音)。あかね荘の住人は、一癖も二癖もある人物だらけだ。

(参考:『ひよっこ』、有村架純と“東京の姉妹”の関係 和久井映見の言葉の温かみ

 同じくスタートしたのが、みね子のすずふり亭での勤務生活。出稼ぎで東京に来ていたみね子の父、実(沢村一樹)がお店に訪れたのをきっかけに、すずふり亭と谷田部家との交流は始まった。出勤初日、料理長である省吾(佐々木蔵之介)から「みね子」と呼び捨てで呼ばれ、すずふり亭の一員になったことを意識するみね子。高子(佐藤仁美)からホールの仕事を教わり、張り切るみね子であったが、あまりの多忙ぶりに彼女の頭は真っ白に。向島電機の時とは違い、同期の乙女寮の仲間達はもういない。そこに優しく手を伸ばしてくれたのが、店主である鈴子(宮本信子)やその息子、省吾をはじめとした店の面々だった。

 すずふり亭の人々は、みね子にとにかく優しい。向島電機に勤めていたみね子が初任給を握りしめ、すずふり亭を訪れた際、彼女はメニューで最も安価のビーフコロッケを頼んだ。自分で稼いだお金で口にする食べ物の美味しさを知るみね子。彼女の直向きな頑張りを見守る鈴子。1966年/昭和41年は、豊かな暮らしを求める風潮が一層高まり「3C」が流行した年。鈴子は関東大震災を経験し、省吾は軍隊に入隊していた過去を持つ。婚約者を戦争で亡くした愛子(和久井映見)がそうであったように、鈴子、省吾も茨城から父の代わりに出稼ぎとして上京して来たみね子の心細さを思いやる気持ちを自然と身につけている。

 「仕事をする間は、上下関係とか、男だから女だからというのはなし。言いたいことは言い合う。偉そうにするやつは嫌い」、みね子は鈴子の教えに仕事のやり方やルールを学び、“社会”を知る。休憩時間、“女だけの新人歓迎会”としてみね子に餡蜜を食べに誘う鈴子。みね子は、メニューを覚えるために寮に持ち帰りたいと鈴子にお願いをする。そこで、鈴子が返したセリフが、「仕事っていうのはね。決められた時間内だけするものなの。その分しか、私給料払ってないよ。時間内に精一杯働く。終わったら忘れる。でないといい仕事はできないよ。嫌になっちゃう、私はそう思う」というもの。朝から、ハッとさせられた視聴者も多くいたのではないだろうか。甘やかすだけでなく、時には厳しさも必要だ。愛子がみね子にとっての“東京のお姉ちゃん”ならば、鈴子は“東京のお母さん”といったところだろうか。有村と宮本は、『あまちゃん』(NHK総合)にて親子役としても共演していた。息の合った2人の関係性が今後どこまで熟成していくのかも見ものである。

 次週「内緒話と、春の風」では、更なる登場人物が現れる。家族写真にて既に登場していた跳ねっ返りで無責任な「アプレ娘」であり省吾の一人娘の由香(島崎遥香)、バーの店主の竹内邦子(白石美帆)、もう一人の漫画家、坪内祐二(浅香航大)。ナレーション(増田明美)による「友達100人できるかな?」というセリフが何ともいい味を出している。

(渡辺彰浩)