働き女子はいつだって優しい癒しを求めている。だから、甘めでゆるめなラブストーリーをCandy BoyとSuits WOMANがプレゼンツ。今回の主人公は、年齢=彼氏いない歴の真面目なアラサー女子・優。

私、中村優(31)は、おじさんだらけの辞書編集部で働いているOL。中学からの女子校育ちで、大学も女子大出身。男性と話すだけで、極度に緊張する奥手な性格のせいで、気付けば年齢=彼氏がいない歴の高齢処女。

そんな私の心臓のドキドキが止まらなそうな出来事が。な、なんと今日は、人生初めてのデート。いやいや、デートではなくて取材。れっきとした仕事の一部……なんだよね?今住んでいるシェアハウス「ラ・メール」のメイクルームで、ヘアメイクの仕事もしているひまりさんに、メイクのレッスンをしてもらった。今までの私だったら、「私なんて、無理」って気後れして男性と2人でお出かけなんか断っていた。この人となら出かけたいなって思う気持ち……こういうのが、もしかして恋なのかな!?

ひまりさんの秘密の特訓で、気持ちがかなりほぐれた。

 待ち合わせ場所に着くと、先に到着をしていてイヤフォンで音楽を聴いていた前野君。会社で見せる、知的そうなメガネ男子の雰囲気と違って、メガネを外したら、超絶イケメン!ドキドキしてきた。

あれ?これがあのメガネ男子・前野君?カジュアルな服装も良い感じ。

「ごめんなさい。お待たせしちゃった?」

「いや、早く着いていたので大丈夫です」

「音楽?何を聴いていたの?」

前野君はどういう音楽を聴いているのだろう?流行りのJ-POP?それとも、私が知らないようなロックバンド?男の人が聴く音楽って、どういうのなのかな?

「海外のミュージシャンで、アシッドジャズっぽいバンドなんです、こういう音楽好きなんですよ、優さんも聴いてみますか?」

「は、はい!」

前野君が、イヤフォンの片方を貸してくれた。こういうの、漫画で見たことがあったけれど、実際に自分が経験するなんて。どうしよう、気の利いた感想でも言えたらよいのだけれど、私、音楽は全然詳しくなかった。前野君が聴いていた曲はインストゥルメンタルの曲で、前野君みたいにちょっとインテリジェンスな音楽に聴こえた。

片方ずつのイヤフォンで同じ音楽を聴くって、なんだか秘密を共有しているみたいでドキドキ。

「このオーセンティックな旋律のところが、耳に残ると思いませんか?」

オーセンティック?オーセンティックってどういう意味だっけ?確か、本物とか、確実とかそういう意味だった。

「オーセンティックって、本物とか、そういう意味だよね」

すると、前野君は笑顔見せた。

「さすがですね。こういう会話ができる優さんって、知的で素敵な女性だと思います」

あれれ、不思議。以前、参加した合コンでは、「君の話はつまらないね」って男の人から言われたのに、前野君と話していると、自然と会話が広がっていく。

スムーズに自分が出せる、前野君との時間 

動物園までの移動で、前野君と並んで歩いた。男の人の肩や腕って、ごつごつしていて逞しい。前野君の手って、指先が長くて綺麗な手だな。繋いでみたら、どんな感じなんだろう……って、私。今日は取材だよ!しっかりしろ、自分。

「優さん、危ない」

細い道からクルマが出てきて、前野君にとっさに腕をつかまれた。なんだろう。この、感じ。男性と接近しても、いつもよりも緊張しない。

「す、すみません。ちょっと考えごとをしていて」

「優さんって、仕事ではしっかりしているのに、普段は可愛いところがありますね」

「えっ?」

「すみません。年上の優さんにこんなことを言ってしまって」

あれれ。なんだか前野君も照れて赤くなっているように見えたけれど、気のせいだよね?

動物園に着くと、カバンからカメラを出して動物たちの撮影を始めた。真剣な瞳でカメラを構える前野君。私、辞書作りをこんなに熱心に取り組んでいる人は、初めて見た。本当は写真だって、辞書用に用意されていたのがあるのに。前野君が持ってきたノートには、事前に調べていた動物たちの生態についてぎっしり書いてあった。本当に努力家なんだな。こんなに真剣に取り組んでいる前野君に対して、もしかしたらデートかも……なんて思ってしまって、本当に恥ずかしい! 

「これで、園内は一通り見終わりましたね」

「写真で見るのと、実際に目の前に動いているのでは違って見えるね」

撮影を終えたら、すっかりくつろぎモードに。

「ちょっと、お茶しませんか?」

ちょうど座りたくなってきていた。そして、男性と一緒にカフェに入ってお茶するの、夢だったんだ。

「いいね!ちょっと喉が渇いてきたんだ」

私は、年上らしく振舞おうと必死だった。目の前にあったカフェには、楽しそうに寛いでいるカップルがたくさんいた。私たちは対面のソファ席を案内された。

向かい側の席に座る前野君。じっと見つめられると、照れてしまう。

「今日は僕が誘ったので、ごちそうさせてください」

「あ。ありがとう」

「本当、優さんの言っていたとおり、目で見るのは違いますね」

「私も作業がすっかりルーティンワークになっていたから、前野君の姿勢、見習わないとって思った」

話していたら、ケーキとコーヒーがサーブされた。

「優さんのケーキも美味しそうですね、一口いただいていいですか?」

「えっ」

これって食べさせてほしいってことかな?私はケーキを一口、前野君の口元に持って行った。

食べる姿も、可愛くて胸キュンが止まりません。

「すっごく美味しいです。よかったら優さん、僕のも食べてみてください」

「えっ、いいよ、いいです。恥ずかしいから」

「大丈夫ですよ」

そう言って、今度は前野君が私にケーキを一口食べさせてくれた。

年下のイケメンに食べさせてもらうなんて、夢みたいです。

「美味しい」

最初は、カフェにいた他のカップルのことが気になっていたけれど、前野君のリードのおかげで緊張せずに過ごせた。なんだろう、この不思議な感じは。男性と一緒にいるのに安心できるなんて。どうしてなのだろう?同僚だから?年下だから?恋愛感情が無いから?

「優さん、このあと、時間ありますか?」

「えっ?」

「よかったら、見たい映画があるんですが、1人で見に行くのは寂しかったので、一緒に観に行ってくれませんか?」

えっ、それってまさかデート?しゅ、取材ではないよね?

「じっ時間ありますよ」

前野君は私のこと、どういう気持ちで誘ってくれているんだろうか?恋愛感情なんて、あったりするのかな?私の中にはそれに似た感情が渦巻いているよ……後編につづく。

Starring:松本ひなた、前田大翔