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説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『iOS 11で音声通話アプリの音質がよくなるってホント?』という質問に答えます。

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まだiOS 11は公開されていないため断言することはできませんが、可能性は高そうです。その理由は、iOS 11で「Opus」というオーディオコーデック(音声信号を圧縮/復元するソフトウェア)を利用できるようになるからです。

Opusは、インターネットで利用される技術の標準化を進める組織「IETF」により、インターネット電話(VoIP)や音楽配信を目的に策定されました(RFC 6716)。Microsoftに買収されたSkypeが採用する「SILK」と、遅延の低さを特徴とする「CELT」というコーデックをもとに開発され、MP3など既存のコーデックより高い圧縮率を持ちます。すでにYouTubeに採用されるなど、WEBにおける標準的な音楽フォーマットとなる可能性を秘めています。

VoIPで利用されるオーディオコーデックはいくつかありますが、なかでもOpusは性能のよさで定評があります。圧縮率が高いためにデータ量が少なくすみ、消費するネットワークの帯域を節約でき、音声の遅延も少なく、そのうえロイヤリティーフリーという特徴があるため、VoIPアプリで使うには格好の存在です。

そのOpusが、iOS 11のオーディオ機構「Core Audio」によってサポートされます。これにより、システムレベルでOpusを音声伝送に利用できるようになるため、人間の音声を扱うVoIPアプリなどで活用されることが見込まれます。通信状態や利用する端末など他の条件が同じだとすれば、Opus対応アプリのほうが聞き取りやすい/高音質と感じる可能性は高いでしょう。

なお、Opusは音楽再生に利用できるほど音質面も考慮されていますが、ファイルフォーマットとして普及しているとはいえません。Opusで楽曲ダウンロードサービスを提供する配信事業者がほとんどないことからも、急速にMP3やAACに取って代わることはなさそうです。