昔から、異性に気持ちを伝える手段として、“手紙”が多く使われていた。

その中には、相手を想う、数々の言葉がつづられている。

時は、2017年の東京。

日々行き交うLINEに対して、現代の男女は何を想うのか。

美沙に「また来月(ご飯に)行こう!」と言いながら、一向に日程が決まらない直斗

その真相や、いかに。




美沙との出会いは、元同期の太郎から声を掛けられた食事会だった。

女性陣はCAだと聞き、実はあまり気乗りしていなかったのだが、行ってみると想像以上に楽しく、すぐに盛り上がった。

美沙は少し大人しそうな子だったが、立ち上がった際に真っ直ぐ伸びた綺麗な脚に思わず目が奪われる。

男だったら、外見に惑わされるのは仕方ないこと。

最初はなんとも思っていなかったのに、急に前のめりになった自分がいた。

「美沙ちゃんはCA?どこ飛んでるの?今度ニューヨークへ出張なんだけど、どこか良い店知ってる?」

ニューヨークは出張で頻繁に行っているため、店は結構知っている。しかし会話の糸口となるならば、無知なフリなんて喜んでする。

美沙は愛想よく答えてくれつつ、話しながら自然と脚を自分の方へ寄せてきた。

-ちょっと男慣れしてるな...

そう思いながらも、喜んでしまうのが男の悲しい性である。その流れでLINEを交換し、 解散してからすぐに美沙にLINEを送る。




絵文字が多すぎるLINEに、少しだけ面倒な印象を受けた自分がいた。


男が「忙しい」とLINEを送る時。隠されているメッセージとは


A1:「また飲もう」は社交辞令。予定をFIXしたい訳ではない


そのまま1週間くらいが過ぎた時、美沙からLINEが入った。




そう言えば、前の食事会の際にニューヨーク便のフライト担当だと言っていたことを思い出す。




31歳、男の毎日は忙しい。

仕事も忙しい上、特に夜は予定がすぐにいっぱいになる。会食に加え、週に数回のトレーニング、取引先によっては海外の時間に合わせてSkypeミーティングを深夜に行う時もある。

だからこそ、日程を決め込んで食事デートへ行く女性は、自分なりに厳しめのフィルターをかけていた。

美沙は確かに綺麗だし、良い子かもしれない(脚も綺麗だ)。でもわざわざ予定をFIXしてご飯に誘いたいかと言われれば、よく分からない。

何か決定打に欠けている。

しかし完全に断るのは惜しい上、この先何かあるかもしれない。女性の誘いに対して、ストレートにNOと言うのも失礼な話だ。向こうが傷ついたら申し訳ない。

だからこそ、こんな時に毎回使用する一文を美沙に送った。




誰も傷つけず、嫌な思いもしない。やんわりと断っているだけで、完全否定はしていない。美沙のようなタイプの女性には、よく送る一文だった。


男が旅先から送るLINE。そこに大きな意味はナシ


それから実際に忙しくなり、しばらく海外を飛び回る生活が続いた。

ニューヨークへ行った際、時間ができたので美沙が教えてくれたバーを思い出し、訪ねてみた。

一人で行ってみると想像以上に良い店で、美沙にお礼を兼ねてLINEを送る。




一人のバーは嫌いではないが、隣に誰かいてくれた方が更に酒は上手く感じられるもの。美沙とタイミングが合えばこっちで“飲み相手”が見つけられたのに。

そう思いながら、グイッとウィスキーを飲み干した。


男は単細胞。好きな女ならわずかな時間でも会いに行く?


A2:急な出張が入った男を追わぬが花。好きならば男の方から飛んでくる


帰国してから慌ただしくしていると、友人の翔太からBBQの誘いが来た。メンバーは、美沙と最初に会った時の顔ぶれだ。

その日の夜は空いていたし、大勢で飲むのは嫌いじゃない。すぐに行くと返事をした。

『アークヒルズ サウスタワー ルーフトップラウンジ』は初めて来たが、夏の夜の宴には最適な場所だった。




開放感があり、男女大人数のグループで楽しむにはちょうど良い。到着した途端、美沙が目に入った。

誘うと言いながら誘っていない気まずさもあり、すかさずフォローに回る。

「美沙ちゃん、結局食事行けてないよね...ちょっとバタバタしてて。」

「直斗君が今月忙しいのは、知ってたから気にしないで。むしろ、今日時間があってよかったね!」

美沙の性格の良さに救われる。しかし、美沙は本当に良い子だし、綺麗だ。

けれどもやはり、何かあと一歩惜しい。その思いが拭いきれぬまま、お開きとなった。

その夜美沙からは何の連絡もなかったが、翌日来たLINEを見て、思わず固まってしまった。




先月、忙しいからまた“来月に”と言った際の”来月”は、具体的な日程を示すものではない。ある種の社交辞令である。

実際に月がまたいだところで状況は変わらない。

何と送るか迷いながらも、謝りながらまた同じような文面を送る。




妙な期待を持たせた自分が悪いのか、仕事を理由に何度断っても気付かぬ美沙が悪いのか...

とりあえず美沙から予定を聞かれるたびに仕事を理由に断り、そして謝るしかなかった。

“そろそろ気がついて欲しいな”と思いながら携帯の画面を見つめていると、新たなメッセージが入る。

先日会ってから気になっている、香里奈からの返信だった。どうしても2人で会いたくて、彼女を誘っていたのだ。




男は、単純だ。
好きな女のためなら、何としてでも時間は作る。

例えそれがどんなに忙しかろうとも。

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LINEの答え合わせQ:これって定型文ですか?男性が送る“ありきたりな一文”