この間、故郷である中国の福州市に数日滞在した。夜、街を散策し、広場で「広場ダンス」を踊っている人達を見かけた。筆者撮影。

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この間、故郷である中国の福州市に数日滞在した時のことだ。夜、街を散策し、広場で「広場ダンス」を踊っている人たちを見かけた。

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近年、中国では「広場ダンス」がハイスピードで流行っている。最初はおばあちゃんたちが主役であったのが、今は老若男女問わず、皆で踊り、そして歌う。広場で市民合唱団にも出会った。数十人が大声を出して歌い、感情が込められた歌声が夜空に響く。沸騰する中国のパワーだと感じた。そう言えば、中国人はどんなことでも全然人の目を気にせずに堂々とした振る舞いを見せる。

「広場ダンス」が原因で時々トラブルが発生する。例えば、朝と夜の時間帯に大音量の音楽を流すと、近所の住民から苦情が出る。それでも「広場ダンス」「広場歌」の勢いは止まらない。

また、初めて中国国内の1日バスツアーも体験した。ツアーのメンバーは赤の他人だが、バスが出発して間もなく皆でしゃべるようになった。夜になると、皆が友だちのように一緒にバーベキューを楽しんだり、写真を撮ったりするようになった。

この2、3年間、中国に戻る度に、中国人の性格がさらに陽気になったような印象を覚える。やっぱり、経済力がアップするにつれて、自信がついてきたのだろう。

「日本のおばあさんたちは広場ダンスをしますか?」。かつて中国のマスコミの人にこう聞かれた。「日本のおばあさんたちはダンス教室でダンスを学びますね」と私は答えた。日本では公園で人がダンスするのは考えられないだろう。

中国「広場ダンス」と対照的に、日本では暗闇のなかで運動する「暗闇フィットネス」が現在人気上昇中らしい。運動はしたい、でも人目は気になる、という人たちに支持されているという。暗いので、すごく汗をかいても周りを気にせずに集中できるところがいいらしい。

「広場ダンス」と「暗闇フィットネス」を比べれば、中国人が外向的、日本人が内向的だという結論が出されやすいが、日本人が運動する時でも「人に迷惑をかけてはいけない」という周りへの配慮をすることは称賛に値することだと考えられる。中国の広場ダンスのおばあちゃんたちが見習うべきである。この十数年間、中国の経済が著しく発展したが、残念ながら、人々のモラル向上がちょっと立ち遅れている気がする。

ところで、日本人にも伝えたいことがある。もうこれ以上に内向的にならないほうがいい。日本はすでに静かすぎる。除夜の鐘、子どもの声、盆踊りに「うるさい」と文句をつける人が少なくないようだ。それは、日本社会の心の問題だと言わざるを得ない。日本人は過敏になりすぎてはいないか。「静かさ」は日本の文化だけれど、活気を失わないでほしい…。

日本と中国の間に行き来し、よく中国の「にぎやか」と日本の「静か」の大きなキャップを感じ、心境が複雑になる。両方の雰囲気を釣り合わせることができたらいい、と時々そう思いをはせる。

■筆者プロフィール:黄 文葦
在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。